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ヒトコワ

件の首さんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

職人芸
長編 2022/11/17 21:24 7,410view
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 2年が過ぎた。
 私はどの部署の仕事もそれなりにこなせるようになり、社長とも冗談を言い合える程度の仲になった。
「お前、入社面接の時、俺のためなら何でもするつったな?」
「ええ、火の中水の中、給料が出れば入りますよ」
 この辺りは冗談。実際にはそんな事は言っていない。
「よしよし、そんなお前に、俺の仕事の一部を任せようと思う」
「社長の仕事を?」
 社長がやっているのは、この会社の中でもかなりグレー……というか、ブラックな部分だ。
 信頼される嬉しさと、何をやらされるのかの怖さがあった。でも、私もこの会社で色々と業界の――うちの会社だけの可能性も高いが――闇のようなものを知った。今となっては同じ穴の狢だ。
「任せて下さい!」

 任されたのは挽肉になる前の下処理。

 挽肉の味や色はごまかせるが、骨の破片が混入すると容易に気付かれる。
 とすると、枝肉を仕入れていたのか。

 夜、行き付けの廃棄物処理業者に、社名のついてないハイエースで向かう。
「安全運転で行けよ」
 助手席の社長が言う。
「はい」
 いつもよりも真剣なトーンだ。
「――やあ、お世話になってます」
 処理場の職員が、プラスチックのコンテナを運んで来る。
「そちらは?」
 職員は私と社長の顔を見比べる。

「今度からこの作業を任せようと思ってる。よろしく頼みます」
「ああ……そうでしたか」
 職員は暫し口ごもり、何か考えていたが納得はしたようだった。
「では、くれぐれも安全運転でお帰り下さい」

 会社に戻り、社長と2人、処理室に入る。
 ここは、社長専用の部屋で、外から許可無く開ける事も出来ない。
「やるぞ」
 社長はプラスチックのコンテナの蓋を取った。
「うわっ」
 私は思わず声を上げる。
 そこには。

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関連タグ: #LINE#声#石#赤ちゃん
コメント(1)
  • そもそも闇医者が未だに存在しているという事だね。

    2022/11/18/15:54

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