深夜の面会者

私が一般病棟に勤めていた時の事でその日は夜勤をしていました。その日の夜勤者は私、先輩、同期の3人でした。12時を回った頃、私と先輩はナースステーションでカルテを記入していました。
その時に巡視に行っていた同期が、帰ってきて私にこう言いました。「今日って重症の方とか誰かいたっけ？誰か家族が付き添うとか聞いてる？」と言いました。

その日は、特に家族付き添うような患者さんはおらず、そのような申し送りは受けていませんでした。私がそのように答えると同期は不思議そうな顔をしていました。
一緒にいた先輩も気になったようで、先輩が同期にどうかしたのかと聞きました。すると同期が、「さっき家族の方を廊下で見かけたので、、、」といいました。こんな深夜に来院したくる人がいるとは思えません。

不審者の可能性もあるので私と先輩が廊下や病室を確認しに行きましたが、どこにもそのような姿はありませんでした。ナースステーションに戻ってきた先輩が同期に、どんな服装だったのか、だこのあたりで見かけたのかを聞きました。すると同期は「髪の長い女性で白いワンピースを着でいました。その女性と小さい子供が手を繋いでいて、私の近くを通ったのですが何も言わずにあっちの部屋に入って行ったんです。」とある部屋を指さしました。その部屋は倉庫になっており、パイプ椅子やオーバーテーブルなどが置いてありましたが、もちろん人などいませんでした。

病院で患者さんが亡くなる事は少なくありません。そのためか、その病院でも時々亡くなった方の霊や人影が見えたり、声が聞こえたり、誰もいない部屋からナースコールが鳴ったり、エレベーターが誰もいない階で止まるなどいろいろな現象がありましたが、患者さん以外の霊が出たのは初めてのことでした。もしかしたら、何処かで亡くなってしまわれた方が当時入院していた方のお見舞いにこられたのかもしれません。
それ以降、その女性と子供の姿を見たというスタッフは同期以外にはいません。