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心霊

件の首さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

心霊スポットの廃病院
短編 2022/09/17 21:29 1,384view
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 高校時代、私は仲の良い何人かの友達と、心霊スポットとされる廃病院に行った。
 結局何事もなく帰って来て、「拍子抜けだったね」「大した事なかったね」などと口々に言い合った。

 それから10年が過ぎた。
 私は結婚し、妊娠した。
 子供は双子のようで、20週に近づき、超音波画像を見せて貰う事になった。
 画面の向こうに映る、初めて見る我が子は、2人、仲よさそうに向かい合っていた。
 片方の手が伸びて、もう1人の首辺りに触れ、抱き合っているようでもあった。
 そして手を伸ばしたまま。
 こちらを向き、目を開いた。
 ように、見えた。

 それ以来、悪夢にうなされるようになった。
 棒で崩された胎児が掻き出されるイメージが、何度も何度も繰り返された。
 妊娠によるストレスと診断され、精神が安定する薬を処方されたが、効果は全くなかった。
 そんな折、高校時代の友達から連絡が入った。

 個室の居酒屋で会った彼女は、当時の面影を残しつつも、表情はすっかり暗くなっていた。
 彼女も妊娠したのだが、20週を超えた辺りから、堕胎の夢を繰り返し観るようになり、そして、22週目で流産したという。
「……心霊スポットの事、覚えてる?」
「なんだっけ」
「高校1年の夏休み、4人で廃病院行ったでしょ」
「ああ、あの何にもなかったヤツね」

「あの病院、産婦人科でね」
 彼女はじっと私を見て言った。
「当時は、堕胎もかなりやってたそうだよ」

 結局、私の子は無事に生まれた。
 大体、霊障ならもっと早く、私に対して起きるものだろう。別人格である子供を死なせるのでは筋が通らない。
 友人は流産の理由が欲しかったのだ。そうでなければ、自分を責めてしまう。

 だから私は信じない。

 この子が最初から目を開いていた事も。
 双子のもう1人が死産だった事も。
 その死因が、何か強い力で首をへし折られた事であっても。
 全て、ただの偶然なのだ。

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