お札付きマンション

私はソファーの上に置いていたはずなのです。

なぜこんなところにあるの？と思い、私はカナも物音がするとか物が移動するとか同じようなことを言っていたことを思い出し、ぞっとしました。

カナがあのようなことになっていなければ、きっと私はそのまま家で眠っていたでしょう。

でもその日はなんだか嫌な予感がして、この家を出ろというカナの言葉が何度も脳裏を掠めました。

そして私はその日、近くの漫画喫茶で一夜を過ごすことにしたのです。

ここが運命の分かれ道だったと自分でも思っています。

翌朝騒がしくて何かと思ったら、近くのマンションが燃えたらしいと噂している人の声が耳に入ってきました。

私はまさかと思いながら、自分のマンションまでいき呆然としました。

私の住んでいたマンションが真っ黒になっていました。

ぼやの中心は私の部屋の脱衣所だったと聞きます。

でも火の気は何もない場所でした。

ただこの火のせいで、私の部屋はまる焼け状態で、もしあの部屋に残っていたら今の私の命はなかったのは確かです。

それから転居して、私は別のマンションに引っ越しました。

カナを失い、家も失い、何もかも失ってすごくつらい状況でしたが、学校の友達や先生たちが励まして支えてくれ、本当に助かりました。

私はあの曰くつきのマンションのことを自力で調べようとしましたが、マンションの管理人は最後まで非協力的だし、物件を斡旋した不動産屋さんも「分からない」の一点張りで、煙に巻かれて最後まで何も分からなかったです。

あのマンションに住んだせいで、私は大事な相方を失くしました。

今もすごく後悔して、戻れるなら物件を契約する前に戻りたいと思っています。

私はすごく鈍いタイプなのか大きな怖い思いはしなかったです。

ただカナにはきっと何かあったと思っていて、あの家に呼び込んだことを心から後悔しています。

お札付きマンションには、きっと必ず理由があります。

マンションでお札を見つけたら、すぐにでも引っ越すことをおすすめします。