幽霊を見た日

私は一人で学校から帰る途中で、知っている友達のおばあちゃんに会いました。

この間お邪魔したときにお菓子をもらったばかりだったので、私はおばあちゃんを見て「あ、〇〇のおばあちゃんだ」とぺこっと挨拶したのです。

いつも明るいおばあちゃんで私が話しかけると、必ず世間話をしてくれました。

しかし、その日はなぜだか何も言わずに、私に小さくお辞儀だけして、すれ違いました。

私はとても不思議でした。いつもの友達のおばあちゃんらしからぬ態度で、しかもその日は暑かったのになぜか着物のようなものを身に着けて歩いていたのです。

何か荷物も持っていたようだし、まるでどこかに出かけるみたいでした。そしてなぜか私は一抹の寂しさを感じたのです。

その数日後に、「そういえば数日前におばあちゃんに会ったんだけど」と軽い気持ちで話したら、友達にぎょっとされました。

そして「おばあちゃんこの前亡くなったよ」と、真顔で言われたのです。

友達は他人の空似じゃないかといいましたが、私はこの目でしっかりくっきり見ています。

数日前に会った人だし、あんなにまじまじと見たのですから、見間違えるわけがないのです。

私はこの日幽霊を見てしまったらしいです。

友達のおばあちゃんには大事な日にいつも着ていたという着物がありました。

それを火葬場に入れたらしいのですが、生前その着物を着た写真を見せてもらうと、まったくあの日見た着物と同じものでした。

どうやら友達のおばあちゃんはお気に入りの着物で旅立てたようです。

ちょっと怖かったけど、でもその話をすると友達は喜んでいたので、良かったのかなと思いました。