兄が会社の寮で体験した話

今から20年以上前、兄が勤めている会社の寮で体験した話です　兄の勤めている会社というのは、夜勤のある３交代勤務で日中に寝て夜勤める　というシフトが定期的に回ってくる勤務形態です　ある日の事、夜勤が同僚の突発的な休みで急遽残業する事になり、非常に疲れて昼頃帰って来たそうです　疲れているので食事もそこそこに布団に入ると、すぐに眠りについたそうです　暫くすると、足元で何かがもぞもぞと動いているのですが、眠気の方が強い為に気にせずにそのまま寝ていたそうです　ですがそのもぞもぞとした感覚が一向に無くならないので気になりだし、見た所、手だけが動いていたそうです　非常に驚いて大声を出したかったらしいのですが金縛りにあってしまい、体が全く動かせなくなったそうです　暫くしているとその手は消え、いつのまにか眠ってしまった　という話です　

また別の日には次の日が早朝の勤務という事でかなり早く眠りについたそうですが、丁度シフトが変わるタイミングだったのでなかなか寝付けずに寝がえりを暫く打っていてウトウトとし始めた時に突如両足を引っ張られ始めたそうです　その時も金縛りにあい全く体が動かせなかったそうなのですが、徐々に引きずられだした為「これはいつもと違うぞ」と恐怖を感じ、渾身の力を込めて動こうとしたそうです　ですがそれでも金縛りは解けずに思いっきり引っ張られた際に壁に思い切りぶつかり、そのあとベッドから転げ落ちたそうです　夢かと思ったらしいのですが両足に思い切り掴まれたような跡らしいものが残っていたそうです　そして引っ張られた方向が壁側からだったらしく「手が壁から出てこない限り、あんな引っ張り方は出来ない」という話をしていました

暫くして兄は実家に戻る事になるのですが、戻る直前にも奇妙な体験をしています　その時兄は職場上のトラブルに巻き込まれる形で３交代ではない変則的な交代勤務を行っていましたが、かなり変則的で生活のリズムが３交代の時よりも掴みにくく苦労していたそうです　その日は夜勤をした後に急遽仕事上のトラブルで呼び出され、再び帰って来たのは深夜だったそうです　寝ずに仕事をした様な状態だったので帰ってくるとすぐにベッドに入りすぐに寝付いたらしいのですが、部屋に気配の様なものを感じ、目を覚ましたとの事でした　最初は「鍵を閉め忘れて、隣の人が入って来たのかな」位に思っていたのですが、部屋の中をずっとウロウロしているので「まさか泥棒じゃないだろうな」と思いながらも眠気のあり、体が思うように動かせずボーっと眺めていたそうです　暫くするとウロウロと歩き回っている割には足音がしない事に気づき「これは人じゃないな」と思いながらその物体を見ているとそのまま姿が薄くなり徐々に消えていったそうです