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心霊

足が太いさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

夜釣りスポットで聞こえる呼び声
長編 2022/05/17 18:09 3,365view
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友達に付き合って、夜釣りに行った時の話しです。

友達は釣りに嵌っていて、夜釣りを体験してみたいと思ったそうです。
だけど1人で夜の海に行くのはちょっと怖いということで、私が誘われました。
私は、釣りはあまり興味なかったんですが、とくに予定もなくて暇していたので誘いに乗りました。

友達が運転する車に乗って、夜釣りの人気のスポットへ行きました。
しかし、そこは口コミ人気が高いだけあって、夜20時を回っているのにそこそこの人がいます。
自分達が入るスペースが見つけられなかったので、違う夜釣りスポットへ行くことになりました。
その夜釣りスポットは、友達が職場の釣り好きから聞いたらしく、「人気があまりなくて釣りを楽しみやすい」のだとか。
到着すると、確かに一度目の場所より閑散としていて、私と友達の他には1人だけしか釣りに来ている人がいません。
友達がいざ釣りをし始めると、私は手持無沙汰になったので、友達の隣に座ってぼんやりと夜の海を眺めていました。

友達は釣りに集中しているのか何も喋らないし、2mくらい離れた場所で釣りをしている男性も1人きりだからか何も話しません。
住宅街から離れた場所にある海ということもあり、波の音しか聞こえず、やけに静かな空間でした。

しばらくぼんやりと海を眺めていると、ふと、遠くの方でゆったりゆったり大きな影が動くのが見えました。
その影は海の向こうの方にあり、最初は大型の船かと思ったのです。
しかし、よくよく目を凝らすと、人の手の平のように見えました。
山のように大きな手の平が、ゆったりゆったりと上下に揺れていて、まるで私達に対して「おいでおいで」をしているようです。
私は異様な光景に寒気がして、隣にいる友達にそっと話しかけました。
「ねぇ、あれなんだろう。何かおかしくない?」
「何って、なにが?どこ?何も見えないけど」
大きな手の平がある方向を指さしますが、友達には何も見えていないらしく、首をかしげます。

私はその手の平を見ないように、そっと視線をズラしました。

(何だか怖いなぁ、早く夜釣りをやめて家に帰りたい)
そんなことを考えながらやり過ごしていると、今度は「おおい、おおい」と声が聞こえてきました。
野太い男の人の声で、しゃがれていて、ひたすら「おおい、おおい」と繰り返しています。
どこから声がするんだろうと辺りを見回してみると、どうやらあの大きな手の平の方から聞こえてくるようなのです。
私はまた隣の友達に、「変な声が聞こえる」と言いましたが、友達は「えー?波の音しか聞こえないよ」と言います。

「おおい、おおい」という声を聞きたくなかった私は、イヤホンを耳に差してスマホで音楽を聴き始めました。
それでやっと、あの呼び声が聞こえなくなってホッとしていたのですが、しばらくすると、「おおい、おおい」という声が今度は後ろから微かに聞こえてきたのです。
そっと後ろを振り向きましたが、誰もいませんし海しか見えません。
ホッとして前を向いたのですが、それでもイヤホンが意味ないくらい大きい声で、「おおい、おおい」と聞こえました。

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