古家の泣き声
投稿者:menyumpahi (2)
廊下に出て電気を点けたところ、そういえば何で電気消えてたんだろうと思うも、おじさんが消したのかもしれないと考え、そのまま用を足しにトイレへ入った。
排泄を済ませた後、顔を濯ぐ為に洗面所へ立ち寄ろうとした時、例の鳴き声が聞こえ始めた。
『あーおー……、あーお……』
あの声だ。
私は耳を澄ませて何処からこの声が聞こえるのか所在を突き止めようと立ち止まる。
息を殺し、耳に手を当てて、周囲に目を配る。
『あーお』
さっきよりもハッキリと聞こえた方向に耳を向ける。
『あー、あー…あーお』
ズリ…ズリ…。
鳴き声と共に例の何かを引きずる音も聞こえてきた。
音の出所が近くなっている。
私は摺足で音の方へと近づいていくと、どうやら音が居間から聞こえている事に気づいた。
しかし、居間にはおじさんが寝ているし、そもそもテレビが点けっぱなしの筈だ。
それなのにテレビの音声が一切聞こえないという不可解な状況に私は首を傾げた。
ズリ…。
『きゃきゃきゃ、あばば』
すると、居間から楽し気な赤ん坊の声が聞こえた。
そう、赤ん坊の泣き声だったんだ。
私は、今まで猫の鳴き声だと思っていたものが赤ん坊の泣き声だと気づいてハッと顔を上げた。
どうりで聞き覚えのある筈だ。
あれが赤ん坊の泣き声だとすれば、あの時鏡越しに見た小さな物体の正体は……、なんて嫌な想像をするも、自ら創りあげた脳内の映像を頭を振るって消し去る。
それよりも、居間から赤ん坊の泣き声が聞こえるという事は、おじさんが居るそこにあの小さな物体が存在するという事だ。
私は恐怖心から体が震えるものの、居間へ戻るのだが、戻った事を後悔した。
廊下の電気とテレビの弱々しい明かりだけが居間を照らす中、コタツの近くに小さな物体が這いずっている光景が目に飛び込んできた。
ゴムのように折れ曲がった赤黒い四本の手足をオールの様に動かして進む物体は、赤ん坊にしては不自然な一際大きな頭部を司令塔に前進している。
その物体が目指す先には、行き止まりの窓辺で小さく蹲って震えているおじさんが声を押し殺すようにして「く、くるな」と怯えていた。
私はすかさず「大丈夫ですか!」と声を荒げる。
しかし、それが悪手だったのか、その物体は前進を止めて振り返るのだ。
標的を私に変更した物体は、そのまま私の方へ這いずってくるとやがて廊下の明かりが届く範囲に差し掛かり、私は不運にもその正体をはっきり見てしまった。
いや怖いよ
面白かった!
この投稿者さんの名前って…
気になって翻訳しちゃいました
インドネシア語で呪いみたいな意味があるようですね
怖い…
バイオハザードヴィレッジ(バイオ8)のベネヴィエント邸に出てくる赤ちゃんを想像してしまった…