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呪い・祟り

@zawazawa46さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

アケさん
長編 2022/04/24 21:34 8,682view
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 まず、山蔵は出来るだけ現状を保存し、すぐそばに亡くなったアケさん達のための社を作ること。
怨霊として祓うのではなく神様として祀り、お怒りを鎮めてもらうこと。
管理や祭事は全て女性のみで行い、男性は立ち入らないこと。
子孫に自分達の過ちを伝え、アケさんの存在を忘れないこと。
これらの条件を聞き全て行ったところ、それまでが嘘のようにぱったりと死人が出なくなった。
そうして年月が経つうちにアケさん達は山神様と呼ばれるようになり、子供達が結婚を控えるような歳になると大人から聞かされることとなった。
そこまで話すと、Y先生はため息をついた。
Y先生「わしらはな、おぞましい祖先の血を引いていることをわすれてはいかんのよ。A男はアケさんのお社に入ったから祟られた。D介は近づいただけで入りはしなかったから、おかしくなっても命は助かったん。」
祖母は、ずっと気になっていたことを聞いてみる。

祖母「それじゃ、B子とC太はどうなったんですか?C太は男の子なのに…」
Y先生「C太はまだ子供だったから助かっただけで、あのまま成長したら確実にD介と同じようになっていた。だからB子とC太の両親は引っ越していった。わしがそう勧めたんよ。」
全てを知った祖母は、いつの間にか泣いていた。
あの時と同じだ。
あの山で途轍もない悲しみに襲われたのも、助けを求める声が聞こえたのも気のせいではなかった。
あれは、犠牲になった彼女たちの悲痛な叫びだったのだ。
年頃になっていた祖母は、望まない性行為を強要され、屈辱の出産に耐えなければいけない辛さが痛いほど分かった。
なんと苦しく、辛かったことだろうかと泣く祖母に、Y先生は言った。
Y先生「〇〇ちゃんが昔聞いて回ってた、あの人形だけどね、」

そうだ、いまの話ではアケさん達は男性が大嫌いなはずだ。
なのにどうしてわざわざオッサンの人形なんかを供えるのだろうか。
Y先生「あれを供物として供えないと、いまだに村の男を取り殺してしまうんだよ。」

祖母はここまで話終えると、私に向き直ってお茶を啜る。
祖母「あんたのお爺ちゃんと結婚して私は村を出たけど、忘れてはいけないことだからね。まあ、若いもんからしたら信じられないかもしれんね。」
私「ちょっと待って、結局奉納したオッサンの人形はその後どうしたの?」
祖母は小さく呟いた。
祖母「ああ、A男のようになるんだよ。」

アケさん達は、今もあの山で苦しみ続けているのだろうか。

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