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呪い・祟り

足が太いさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

絵の中の女性
長編 2022/03/13 21:23 4,292view
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友達が帰った後、絵を元に戻して、もう一度じっくりと観察したのです。
友達が言うように絵の女性の視線が動くのか、左右に移動してみましたが、何も変なことは起こりません。
「きっと友達の勘違いだ」と思って、忘れることにしました。

しかしその日の夜、奇妙な夢を見たのです。
目の前に、絵の女性が現れて、私に何事か話しかけています。
日本語でも英語でもない、どこの国のものか分からない言葉で、女性がずぅっと話しかけてくるのです。
夢の中の私は金縛りにでも遭ったかのように体が動かず、起きるまで女性の言葉を聞き続けていました。

変な夢は、その日だけで終わりませんでした。
次の日も、その次の日も、同じ夢を見るのです。
しかも、日が経つにつれて段々と絵の女性の形相は変わっていき、最初は小さく呟く程度だった声も、夢を見るようになって7日目には叫ぶような恐ろしい声になっていました。

相変わらず何を話しているのか要領を得ないのですが、唯一聞き取れた単語が、「うろの」。

どういう意味なのか調べても分からず、モヤモヤしながら夢を見続け、とうとう3ヶ月が経ちました。
夢の中の女性は髪を振り乱し、目は充血して、口の端から涎を垂らしながら、私に向かってなにがしかを叫びます。
私は体が動かせず、目覚めるまでずっと女性の金切り声を聞き続けるのです。

起きると疲労感が酷く、よく眠れていないせいで頭がぼんやりとして、仕事に身が入りません。
お腹が減っていても食事をする気力が湧かなくて、食べない日々が続き、そしてとうとう栄養失調で倒れてしまいました。

気づいたら病院のベッドで寝ていて、傍らには両親と、そして友達がいました。
嫌な予感がした友達が1人暮らしの私の家に行くと玄関の鍵が開いていて、廊下に倒れている私を見つけて救急車を呼んでくれたのだそうです。
色々と検査して異常がなかったので翌日退院したのですが、友達が来てくれて、車で家まで送ってくれました。

最初は他愛もない話しをしていたのですが、そろそろ家に着くという時、車を運転している友達がこちらを見ずに、「あの絵は良くないものだから、すぐ捨てた方がいいよ。そういうのに詳しい人知ってるから、そっちに預けてもいいし」と、ぽつりと言いました。

私「…そんなにやばいの?」
友達「あなただって気づいてるでしょ?そこまでやつれた原因はあの絵だって」

私「実はね、あの絵の女性が夢に出てきて…」

夢の内容を洗いざらい話すと、友達は覚悟を決めたかのような声で、「今日、その絵を持ってって供養してもらおう」と言いました。
私もあの絵を手元に置いておくのが怖くなり、友達に従うことにしたのです。

私の家に着いて、リビングの壁から絵を外して、すぐに友達が待っている車まで戻り、そして友達の知り合いの霊能者さんの元へ行きました。
霊能者さんは60代くらいの男性で、友達が詳しく話す前から私の持っている絵を指さし、「これはまた、とんでもないものを持ってきたね」と言ったのです。
霊能者「これ(絵)は預かって、今日中に供養をしておくから、君達はもう帰りなさい。ああ、今日の晩、この絵の女が夢に出てくると思うけど、決して女の言葉に耳を貸さないようにね」

私と友達は霊能者さんに言われた通り、真っ直ぐ家に帰りました。

そしてその日の夜、霊能者さんが言っていたように、夢の中に絵の女性が現れたのです。
女性は、しっかり白髪になってしまった髪を両手で掻きむしりながら、「うろのうろのうろのうろのうろのうろのうろのうろのうろの」と、延々叫んでいました。
私は必死に「早く夢が覚めろ!覚めろ!」と、念じながら、女性の言葉を聞き流したのです。
そんな私の様子に気づいたらしい女性が、私につかみかかろうとした瞬間、ハッと目覚めました。

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コメント(2)
  • 「うのろ」は呪うって意味じゃないっすかね

    2022/06/13/21:15
  • 絵は、気持ちを込めて書くものだから念みたいなものがはいってしまうのかも。見ていて癒されたり楽しくなるものを飾った方がいいですね。

    2023/07/08/21:18

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