奇々怪々 お知らせ

心霊

アイミさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

「心残り」マキちゃんに捧ぐ
長編 2021/12/20 22:35 3,813view

するとその人は、急にふわりと上に上がりました。
足は消え白い衣装をまとったその人は、私を見下ろすように上からじっと見つめています。

とうとう私は「見た」のです。
その人の顔を!

「あ、マキ(仮名)ちゃんだ!」
心の中で呟きました。

マキちゃんは、母の知り合いでした。
35~36歳の女性でしたが、私たちが引っ越してすぐにビルから飛び降り自殺をしてしまったのです。
母が彼女のことを「マキちゃん」と呼んでいたので、私も「マキちゃん」と呼ばせてもらっていました。

「マキちゃん!ごめん!」

「本当にごめんね!」
「私が悪かったよ」
「私が悪いのは分ってるけど、怖いからここから離れて欲しい!」
「お願い!どこかへ消えて!」
布団の中で私は叫びました。
するとマキちゃんは、寂しそうな表情をして隣にある弟たちの部屋に行きました。
ひと通り2階の部屋を見た後、マキちゃんは階段を降りて行きました。

1階で眠るのは母です。
母の事が心配でしたが、私はそのまま意識を失うように眠りにつき、翌日の昼頃まで起きられませんでした。

数日後、思い切って私は、母に打ち明けました。

「ねえ、笑わないでね」
「この前さ…、マキちゃんが来たよ」
「信じないなら、それでもいいけど…」
どうせ幽霊とか、信じてもらえないだろうと思ったのですが、母の返事は想像と違いました。
「知ってるよ」

「えっ?!お母さん、私の話を信じるの?」
「うん、だってマキちゃん毎日、私の所に遊びに来てるもん」

「うそ…マジ…?知らなかった…」
母にとって亡くなったマキちゃんが、夜な夜な現れるのは怖い現象では無かったようです。
むしろ、幽霊でもいいから会いたい存在だったのです。

3/4
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。