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withさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

夜道に出会った風呂敷の荷物を抱えた老婆
短編 2021/11/15 23:55 1,602view
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あれは高校3年の冬の事だったと思う。
部活が遅くなった俺は通い慣れた通学路を速足で帰路についていた。
周囲に山が見えるほどには田舎なので外灯の設置幅が一つ一つ遠く、かなり暗闇に支配されていた。

不運にも高校で一番遅く出てきたらしく、普段なら自転車で下校する学生がちらほらいるんだが、今日に限って誰ともすれ違わなかった。

しばらくすると外灯の明かりの下に小さな人影があることが遠目から見え、俺は安堵した。
近くなるとそれが老婆であることがわかり、手には風呂敷包みの手荷物を抱えていた。

「…こんばんは」

「こ、こんばんは」

不意に老婆が挨拶してきたので俺はちょっとキョドるように返すはめになった。
何というか、生気のない能面みたいな表情をしていて、ちょっと不気味な感じの老婆だったが、待ち人に会ったように会話を続ける。

「…家まで遠くて、ちょっと荷物が重くてね」

芝居がかったように手荷物に視線誘導されたが、暗に運んでくれと頼んでいるのだと俺は解釈した。

「じゃあ、途中までなら持ちましょうか?」

「…ありがとうね、助かるよ」

老婆は淡々と告げた後、風呂敷を手渡し、俺は受け取った。

「うげ」

思わず声が漏れた。
ぐっしょりとした水気が手に広がり、思わず風呂敷の底を触るとやはり濡れていた。

「…どうかしましたか?」

俺は首を振って老婆と一緒に並んで歩く。

外灯が三つ四つほど過ぎたところで分かれ道に差し掛かり、俺と老婆は別方向らしく、ここで別れることになった。
適当に挨拶し終えた俺は早々に道を進みだし、一刻も早く老婆から離れていった。

あれは何だったんだろうと考えていると、また先にある外灯の下に人影が見える。
まさかと思って目を凝らすとやはり先ほど別れた老婆が外灯に照らされていた。

「は?」

マヌケな声を上げて俺は後ずさると、遠回りすることになるがさっき老婆と別れた別の別の道に戻ることにした。
あの老婆がどうやって先回りしたかわからないが、こっちの道にいるなら向こうにはいないだろうと安易な考えだった。

しかし、戻る途中の外灯の下にも老婆は待ち構えていた。

俺はもう意味がわからないと半ば錯乱した。

すると、老婆は俺に気づいたのかこっちに顔を向けてゆっくりと歩み寄ってくる。
そして、俺の前で立ち止まると風呂敷包みを抱えて、こう告げた。

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