精霊流しの日　死んだ父が帰ってきた

「そうか！お父さんが鳴らしたのか！」

何故かストンと納得がいった私は、すうっと恐怖心がなくなりました。
父が、せっかく帰ってきたのに誰も気が付かないから（笑）私に
「おーい！帰ってきとるとぞー！無視するなー！」と知らせるために鳴らしていたのだと思います。
きっと力を振り絞って一生懸命に頑張ったに違いありません。

みんなにこの出来事を報告し、「父が帰ってきた、音を鳴らして自分の存在を示すなんて父らしい（笑）」と笑いあいました。

それからはもう音が鳴ることはありませんでした。

その後無事に初盆を終え、父はまた極楽浄土へ戻っていきました。
今でもたまにヒヤッと「何か」を感じることがありますが、もしかしたら父がそばで見守ってくれているのかもしれません。