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不思議体験

仙華さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

精霊流しの日 死んだ父が帰ってきた
短編 2021/11/07 18:29 2,047view

私の父は53歳で白血病により亡くなりました。
父は、骨髄移植が決まったときには「ドナーは関西の人らしい。関西弁を勉強せんば。」と言って
周囲を笑わせるくらい冗談好きで、とても明るく前向きな性格でした。

そんな父も天国へ旅立ち、初めてのお盆がやってきました。
私の故郷である長崎では、お盆には精霊流しがあります。
お盆に帰ってきた故人の御霊(みたま)を極楽浄土へ送り出すのです。
我が家は父のために親戚総出で大きな精霊船を手作りし、
仏壇の周りにはたくさんのお供え物を揃え、着々と準備を進めていました。

そして8月15日、精霊船を流す日の昼間だったと思います。
私が仏壇の前で祖母と作業をしていると、『カサカサ・・・』と急に聞き慣れない音がしました。

「何の音・・・?風のせい?でも今まで全然風は吹いてないし・・・」

音がした方にあるお供え物をじっと見てみましたが、
動いているところはありませんし、カサカサと音が鳴るようなものも見当たりません。

「なんかちょっと違うものを感じる・・・」
そう気づいた瞬間、心臓の鼓動が早くなって体温が上がるような、ゾワゾワと冷や汗をかくような感覚がしました。

「気づいたことを口に出すとヤバイい気がする・・・」
そのときの私は恐怖心が勝り、なかったことにしようと、祖母には気づかれないようにまた作業に戻りました。

そして1分くらい経った頃でしょうか、また『カサカサカサ・・・』と音がしたのです・・・!

これはおかしいと思い、隣にいた祖母に言いました。「なんか仏壇のほうからカサカサって音がする」

祖母と私は手を止めてじーっと仏壇のほうを見ました。

『カサカサ・・・』

また音が鳴ります。

すると、祖母は仏壇のほうをみつめながらこう言ったのです。

「ほおずきが揺れとる」

ほおずきとは、オレンジ色をした実が連なった、お盆には欠かせない花です。
紙風船を少し硬くしたような質感で、揺れると乾いたようなカサカサという音がします。

私は驚いてほおずきを見てみましたが、揺れているのは見られませんでした。

「え?本当に?」

少し疑念も持ちながら残念に思っていると祖母が言いました。

「きっと、〇〇(私の父の名前)が帰ってきて鳴らしたとやろう」

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コメント(3)
  • すみません、感覚は認識できる家族しかわかりません。多分。聞きたい事は、ドナーを移植しましたか?その後、何年行きましたか?ふと疑問に思っただけなので、返信は無くても大丈夫です。大変失礼致しました。ごめんなさい🙇‍♂️

    2021/11/07/21:01
  • 思うんですけど、亡くなった魂って帰って来なくて良いような気がするんです。
    だって帰って来たって結局、こちら側の人間は怖いとか、気味悪いとしか思わないので。
    それならば家族に余計な心配などかけず、この世への未練と執着を全て捨て成仏し、新しく生まれ変わり別の生を生きるべきです。
    (すみません、全部の心霊現象への説教ですね)

    2021/11/07/22:44
  • ほおずきより、おりん鳴らせよ!

    2021/11/08/02:08

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