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心霊

アンネさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

あの人はもしかして…
短編 2020/11/07 23:55 1,434view

今回は、私が幼い頃に体験した怖い話をご紹介したいと思います。

私たち家族は、お盆の時期になると父の実家にお盆参りを兼ねて泊まりに行っていました。

この習慣は私が中学を卒業するまで続きました。

そんな父の実家に泊まる夜、私は数年に一回程度不思議なおじさんを目撃していました。

なぜ数年に一回かと言うと、それは夜中に目が覚めてトイレに行った時に目撃していたからです。

そのため、夜中にトイレに行かなかった年は、そのおじさんを目撃することはなかったと言うわけです。

父の実家のお座敷に布団を並べて、父と母、そして妹と共に寝ていたのですが、トイレに行くには外の通りに面した廊下を通らなければなりません。

まだ、夜中が今に比べて涼しかったため、廊下の窓は網戸にしてあり、通りの道が街灯に照らされてぼんやりと見える状態でした。

寝ぼけ眼の私は、トイレを済ませた後、ぼんやりと外の通りの道を眺めながらお座敷に戻っていました。

すると、私の目には外の通りの道を行ったり来たりする男性がいるのを目にするのです。

それも、2、3メートルの距離を行ったり来たりしているので、不思議に思いながら私は足を止めてしばらくそのおじさんを眺めていました。

初めておじさんを目撃した時は不思議だと感じながらも、私も眠くてぼんやりしており、すぐに布団に戻って寝てしまうため、朝にはすっかり忘れてしまっていました。

しかし、数年に一度夜中のトイレに起きるたびに、そのおじさんを目撃してしまうため、「やっぱり何かが変だ」と思った私は、中学二年生の夏のお盆の時に祖母にその話をしたのです。

すると祖母は、しばらく押し黙ってから「それはお向かいの家のおじさんかもしれないね…」と呟きました。

私が「お向かいにおじさんいたっけ?」と尋ねると、祖母はまた、しばらく押し黙ってから「おじさんがいたんだよ、お向かいに。だいぶ前に亡くなったけどね」と答えたのです。

私は、頭が混乱しながらも「え、じゃあ、あのおじさん生きてる人じゃないってこと…?」と尋ね返すと祖母は黙って頷きました。

祖母から聞いた話を要約すると、お向かいのおじさんは、大酒飲みだったらしいのですが気が弱く、酒を飲んではおばさんに大目玉を喰らい、外に出て家の前の道をうろうろしていたらしいのです。

そんなある日、いつものようにおばさんに大目玉を喰らったおじさんは何を思ったのか、家の通りに面した庭の木に首を吊って自殺してしまったそうなのです。

私は、自分が見たおじさんがこの世のものではないと知って、怖さももちろんありましたが、なんだかおじさんが気の毒になりました。

なぜなら、死してもなお、家の前の道を行ったり来たりしながら、おばさんにどうやって許してもらおうか考えているのだと思ったからです。

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