向かい合わせの怪異
投稿者:r.s (1)
長編
2021/03/21
18:53
111,172view
だが、現実は甘くなかった。
建設車両の運転手であるサトウが失踪したんだ。
ここにきて建設車両の運転手が減るのは非常にまずい。
彼の自宅へ何度も電話をしたが、いくら待っても留守電に繋がるだけ。
私は何か事件に巻き込まれたのではないかと思って、彼の自宅アパートまで訪ねたんだよ。
でも彼は出てこなかった。
そこで念のためドアノブを回すと、扉が開いたんだ。
名前を呼んでも返事はない。
いよいよ彼の身が心配になってね。
悪いとは思ったけど中へ入ることにしたんだ。
部屋は足場もないほどに散らかっていた。
いや、散らかっていたというより荒らされていたという方が正しい。
食器棚や冷蔵庫は倒れているし、テレビの画面も割れている。
これは只事でないと感じて辺りを見回していると、テーブルの上に一枚の書置を見つけたんだ。
そこには、走り書きでこう書かれていた。
「モウ逃ゲラレヌ。
– アノ土地ハイケナイ。
– 初日ノ嫌ナ予感ハ間違イデナカッタ。
– ツイニ化物ハ俺ノ部屋ニ姿ヲ現ス。
– コレガ夢デアレバドンナニ良イコトカ。
– 俺ハ仕事ガ嫌デ逃ゲルノデハナイ。
– コレ以上耐ヘラレヌノダ。
– 現場ノ仲間ニハ申シ訳ナイ。」
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 288票
今日いちばんよかった
映像化してほしい
引き込まれました。
引き込まれました
よかった。怪異の実態は直接そこに現れる事も無く、けど情景はしっかり目に浮かんで怖かった。
地味に怖い
その婆さん何者だよ
強すぎじゃね?
やっぱり怪異はこのくらいの書き方の方が映えるね
超常現象かどうか微妙なラインでとどめておくのがベスト
老婆がどんな呪いをかけたのかを明確には言わないのも良かった
そこで神主が人形を使ったどうたらこうたらの呪いですと説明してたら正直萎えてた
この作品を正当に判断できる評価者がいることを切に願う。今まで数々の怪談を目にしてきたが、この作品はクオリティが違う。文学作品としての気品すら感じる。
これ読むと他の話が幼稚に見える
箱に入った人形と鏡が、「後遺症ラジオ」の〃おぐしさま〃で再生されてゾッとした
この話は有り得ない
あの時代だったらこの婆さんは呪いをかける前に居なくなっているはずだから
言い方変だけど、よく出来てるなぁと思った
だからタイトルの「向かい合わせの怪異」というのにも意味があると思うんだけど、考えてもわからない。何が向かい合わせなのかわかる人いる?
もう小説家デビューしていいクオリティ。
引き込まれた。
読み応えありました。
過去似たような怪談を目にしましたが、クオリティの高さではトップクラスですね。
難をいえば、タイトルで損をしていると思います。
私の想像力が不足していることもありますが、どなたかも指摘していたとおり、「向かい合せの怪異」とした理由と根拠がいまいちわかりにくい点でしょうか。
本文を読み進むうちに、なんというタイトルだったかすら忘れてしまうほど優れたストーリ展開なので、単純にもったいないなぁと思った次第です。
サトウと友人の幻覚怖っ
あもすっごぃ。
今まで見た中で1番文章力が高い。プロの小説家かと思いました。