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呪い・祟り

海堂 いなほさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

黒い影2
短編 2024/01/28 11:49 1,335view
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黒い影の続きになります。

 その日のうちに、私は、宮司(神主)さんのお祓いを受けることになり、私は、神殿に連れて行かれました。神殿には大きな鏡、玉串、お供え物などがあり、宮司さんは私をその鏡の前に座らせる。そしてゆっくりと話し始めた。

「今から、お祓いをします。すぐに終わりますので、少し目を閉じていてください。」

 私は、一部が見えない視界を閉じると、おもむろに合掌し、宮司さんに身を委ねた。

 宮司さんの声が、心に響くというか、全身に染み渡る様に何かが入ってくるのが分かる。それと同時に何かが消えていくのも分かりました。

「祓え給え、清め給え~中略~。終わりとなります。」

 私は、思いのほか早く終わったお祓いに少し驚いてしまい、ぼんやりと宮司さんを見つめた。

「もう終わりですか?」

「はい、少しお話よろしいですか?」

 宮司さんは、私を神殿から奥の客間のような部屋に案内した。部屋は簡素な作りで、ソファーが二つ向かい合って並んでいる。宮司さんは、私にソファーに座るように促し、そのまま、私は、何も考えずにソファーに座る。すぐに、私の前に宮司さんが座り、缶コーヒーを私に差し出しました。

「どうぞ。」

「あっありがとうございます。」

 私は、とっさにお礼を言うと缶コーヒーを開け、一口、口に含みました。

「目、いかがですか?」

 そういえば、見えていなかったはずの視界の半分が見えるようになっている。私は、手のひらを見つめながら、この不思議な現象に純粋に驚いていました。

「あっ、ありがとうございます。でも、どうやって。」

「今回は、単なる残穢でしたので、このくらいのお祓いで十分効果が得られたのです。」

「残穢?」

「はい、一般的には、なじみのない言葉ですが、まー、悪霊のマーキングのようなものです。」

 宮司は、顔の前で手を組みながら言った。宮司の顔を見ると、切れ長の目が涼しげに輝いている。歳は私と同じくらいだろうか?

「マーキング、なんだか、犬みたいですね。」

「そんな可愛いものではありませんよ。女性がとりついていたと言いましたが、女性と言うよりも、般若に近かったかもしれません。それよりも、聞きたいことがあるのですが。」

「はい。助けていただいたお礼もしたいので」

「どのあたりで、視覚を失い始めましたか?」

私は、質問が分からず、困惑してしまった。視覚を失い始めたというのはどういう意味だろうか?私が宮司の意図を図りかねていると宮司は言葉をつづけた。

「私は、この神社の宮司をしていますが、除霊もしています。これまでも、数多くの霊を払ってきました。私が、払えなかった霊がいくつかいましたが、今回、貴方についていた残穢は、その一つで、私が探している霊です。」

「はあ。」

 宮司の言っている意味が分からず私は、気の抜けた返事しかできなかった。

「貴方の置かれていた状況から話をしますと、今回は、視覚の半分を失っただけでしたが、あのまま、ほおっておくとすべての視覚を失います。次に、聴覚、触覚、嗅覚、味覚と徐々に失っていきます。」

 宮司は、深刻そうな顔をして話をつづけた。

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コメント(2)
  • まだつづきがありそうな予感

    2024/01/28/14:28
  • 宮司さんに感謝、感謝です。

    2024/01/29/09:35

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