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呪い・祟り

海堂 いなほさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

電子的な祠
短編 2024/01/18 19:19 970view

近年のテクノロジーの進歩は、めまぐるしい。一方で、論文をAIに作らせるなどの闇も含んでいる。2023年1月15日から2月20日までの間にある小説の投稿サイトに全く別のIDから同じような怪談が連続して投稿されていた。内容は、「ある公園の祠に触わると幽霊が現れ、呪われる。」というありきたりな話だった。考え方によってだが、オカルトが好きな人なら似たような話を偶然同じ時期に作ることはありうる話。「心霊系が好きな人にとってはオーソドックスな話だから、偶然続いている」や「パクリ説」といった憶測がネット民からは声が上がっていたが、どの話も推測の域を出なかった。しかし、不思議なことに、この話には、同じ場所がモデルになっているとしか思えない描写がいくつもでてくるのだ。結局、パクリ説が濃厚となってスレは終わっていた。

 しかし、某ネット掲示板では、捜索ニキたちによる公園の場所が特定され、公園の場所は、H県にあるN公園だろうという結論に達した。

 場所が判明した後は、凸ニキの出番である。掲示板上で参加者を募ると、クリ、モカッチ、ガワの3人が、N公園に向かうと書き残し、公園に向かった。3人は、動画配信サイトのライブ機能を使い、凸風景を実況中継していた。

「N公園に来ています」

 クリは、スマホで街灯だけが照らす公園を映し出した。3人は、恐る恐る、その祠に近づいていく。祠は、まるで、何かを閉じ込めるかのように檻の中にあった。柵と柵の間は意外なほど狭く、腕が入りそうもない。3人は、仕方なく檻を持ち上げることにした。

「祠、青白く光ってない?」

不意にそんな声が入った。

「あ・・・け・・・ざぁ・・・。」

持ち上げようとした瞬間、雑音が入った。ライブは、そこで終わった。

そして、次の日、再び、小説の投稿サイトに新しい物語が複数投稿された。そのすべてが、「新たな呪い」と言う題名であった。

数日後、捜索隊が掲示板で募集され、3人の捜索が行われたが、その消息を掴むことができなかった。ただ、捜索隊は、祠が僅かに赤く染まっていることに気が付いた。UPされた再び、捜索隊に参加した1名が、掲示板に書き込みをする。

「最近、誰かに見られているような気がする。家にいても、外にいても。怖い。」

再び、UPされた小説の書き始めには次のように書かれていた。

「人間も妖怪も幽霊も霊魂もすべて、電気を帯びている。電磁波で支配された世界は、私の住処である。すべては、解き放たれたのだ。この世界の電気を帯びたものはすべて私の支配下にある。」

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コメント(1)
  • オカルト系の実況中継に行く人は凄いですよ。

    2024/01/19/03:42

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