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心霊

海堂 いなほさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

修学旅行の夜
長編 2023/11/26 23:53 2,225view
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こんなタイトルをつけると、浮ついた恋の話を想像するかもしれませんが、私が高校生の時に体験した話です。(先日、熊本護国神社の短編映画をyoutubeで見たから、こんなことを思い出したのかもしれませんが………。)

 私の高校の修学旅行では、旅行先で、その土地の護国神社に行くことになっていました。護国神社は、戦争関連の施設なので、先生がたは、あまり、気乗りしていない様子でした。私は、祖父が軍人だったこともあり、抵抗は、なく、むしろ、自分の祖父のことですし、誇らしくとも思っておりました。しかし、悪乗りが過ぎる友人Aは、そうでもなかったようです。この友人Aは、根はいい奴なのですが、ちょっとおバカなんです。勉強ができないとかではなく、行動がちょっと子供っぽいというか、悪いことをすることがかっこいいと思っている節があると言うか、まあ、そんな感じの奴なんです。

 一つの目の事件は、神社に向かうバスの中で起きました。それは、学校でも有名な社会科のB先生が突然、マイクを使って話し始めたのです。B先生は、急遽、家の都合で修学旅行にこれなくなった担任の代わりに来た先生でした。

「君たち、いいか、今から行くのは、戦争犯罪人のいる場所だ。参拝したくない奴はしなくていいぞ。それと、行く生徒は、日ごろの思いをぶちまけてやれ。」

 一瞬、バスの中が、ざわつきましたが、多くの生徒は、「また、言ってるよ。あの先生。放置。」と聞き流していました。しかも、神社では、戦争体験者の話を聞いて、感想文の提出があったので、行かないという選択肢は、基本的にありませんでした。しかし、一人だけ、聞き流さなかった人がいたんです。そうです。Aです。Aは、悪いとわかっていたにもかかわらず、B先生の言葉を利用して、何かしてやろうと思っていたようです。

 さて、神社に到着すると、みんなでお参りです。京都とかにある神社とは異なり、ずいぶん殺風景な神社です。宮司さんが一人、お守りとか、絵馬とかたくさん売っていると思いきや、全く、商売っ気のない神社です。私は、少し残念と思いながら、手早くお参りを済ませました。

 その時に2つ目の事件が発生しました。それは、A君です。A君が、何やら大きな声で、ろくでもないことを言っています。慌てて、宮司さんが叱りに来ますが、それを見たB先生が宮司さんを止めています。

「彼の主張は、正当なものだ!!」要約して言うとこんなところです。しかし、宮司さんもこのままではいけないと思ったのでしょう。「わかりました。他の参拝の方もいるので、あなた方の主張は、心の中で、唱えてください。何も、大声で冒涜するようなことを言わなくてもよいでしょう。」

「宮司さんは、そういいますけどね、あの戦争で、何人の人がなくなったか、ご存じですか?」

 なおも、議論をしたいB先生は、宮司さんに食って掛かっています。見かねたほかの先生が、B先生を止めてくれて、その場は、解散となりました。もちろん、A君とB先生はそのまま、バスに戻っていきました。

 私たちが、バスに戻ると、A君は、どや顔で、私たちに言いました。

「俺、かっこよかったやろ。」

「意味わかんない。」

 本当に嫌そうな顔をしながら、全員が白い目でA君を見ていました。それは、戦争とかではなく、非常識すぎる行動に嫌気がさしていたのです。

 そのあとは、何事もなくホテルに着きました。私たちの部屋は、ホテルの離れになり、貸し切り状態でした。

 昼のことなど忘れて、みんな和気あいあいと好きなこの話やアイドルの話をし、なかなか寝付けない夜でしたが、先生が見回り、日付が変わるころには、寝息を立てていました。

 私は、友人に起こされ、部屋の扉からそっと廊下をのぞき込みました。すると、そこには、大泣きしているA君の姿が、あったのです。

「ごめんなさい、もうしませんから、許してください。」

 泣きながら、ずっとそんなことを言っています。A君を慰めていた先生も何が起きた変わらない様子で、ほとほと困った様子でした。

 A君は、完全にパニック状態というよりも、恐慌状態でした。先生がいくら慰めてもA君が正気に戻らないのです。そこへ、宿泊客なのか、浴衣を着たおじいさんが、A君の肩にポンと手を置き「もう、そのくらいで、許してやりなさい。」と言っていました。(結構距離が離れていたのによく聞こえたな~とあとから思いました。)

 すると、A君は、膝から崩れ落ち、再び、さっきまでの恐慌状態がうそのように寝息を立てたのです。あとから、A君にこの時の話を聞くと、A君には、腕のない人や足のない人、頭が半分ない人、内臓が飛び出ている人がA君の周りを取り囲んで、怒っていたそうです。自分が廊下で叫んでいた記憶もなく、すごく怖い夢を見ていたという認識でした。でも最後に、神社にいた人が、その幽霊?達に「その辺にしてやりなさい。それよりも……」と言って、A君を助けてくれたと言っていました。

 次の日、A君は、少し反省したのか、ちょっと元気がなくなっていました。それに、自由時間なのに、また、あの神社に行って昨日の失礼な行動を誤ってきたそうです。先生たちはというと、朝のうちに昨日の件をホテルの人に謝っていました。私は、偶然その場面に居合わせたのですが、昨日、助けてくれたおじいさんにもご迷惑をかけたので、謝りたいと言うとホテルの人は、怪訝そうな顔をして、「そのような方は、お泊りではありませんが」と言うではありませんか。そして、A君を見ていた先生がその風貌を伝えると、ホテルの人は驚いた顔をして、先生の後ろに手を差し出しました。

「それは、あのようなお方ですか?」

 ホテルの人が示す方向には、元陸軍中佐○○○○と書かれた先代の肖像画が飾ってありました。驚くことに昨日、A君を助けてくれた老人は先代の支配人だったそうです。先生は、「では、先代にお詫びとお礼を」と言うと「先代は、もうずいぶん前に亡くなっています。」と答えたのです。先生は、顔を凍り付かせていました。

 この話には、まだ、続きがあって、実は、先生たちが凍り付いているときに、明らかに体調が悪そうなB先生が、同僚の先生に肩を借りてフロントに着いたのです。そして、先代の肖像画を見るなり、「昨日の…………。」という言葉を残し、気を失ったそうです。あとから、ほかの先生に聞いたところ、B先生は、A君がパニック状態だった時に、廊下で正座をしながら、教育勅語を大声で読み上げていたそうです。

 やはり、神社では、キチンと参拝しないといけませんね。(合掌)

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コメント(7)
  • ちゃんと聞いているんですね。英霊への感謝の気持ちを忘れてはいけないと、改めて思いました。

    2023/11/27/12:25
  • 面白かった。
    途中のB先生みたいな思想全開の先生って今もいるんかな?
    戦争犯罪者言うても負けたからそう言われてるだけで相手側も同じやからな〜

    2023/11/27/13:29
  • (゜Д゜)

    2023/11/27/14:14
  • B先生みたいな非常識な人が先生をしているのがイラッとしますね。

    2023/11/28/01:58
  • B専

    2023/11/28/12:17
  • 全てが繋がった、全てがね。

    2023/11/29/13:15
  • B先生が最低ですね。典型的な左翼教師ですよね

    2023/12/02/11:05

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