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心霊

あまねさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

祖父の最後
短編 2024/06/01 22:29 674view
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私の祖父が死んだ時の話。

私の祖父は医療ミスで亡くなった。詳しい内容は書けないが明らかな病院の過失だった。
しかしその病院には祖父の娘であり私にとっての叔母が勤めていたこと、大きな病院だったので裁判になるとまず勝てないことなどを理由に結局はなあなあに済ませることになった。
祖父の死を告げたまだ若い担当医はボロボロと泣きながら何度も謝罪をして、しかし医療ミスはなかった言うばかりだった。
本来なら勤める看護師や医者の家族がその病院で亡くなっても葬儀に参列することなどはしないのに、ゾロゾロと病院関係者が現れて多額の香典を置いていった。

そんな祖父が死んだ瞬間、病院側は今後の対応に頭を悩ませていたのか、かなりの時間祖父の遺体をそのままにしていた。
すると祖父は起き上がって叫びながら血を吐いた。確認してもしっかりと心臓は止まったままだった。生体反応も復活してはいない。

死後硬直やガスの関係でそういった事は起こり得るのだが、それにしても時間がおかしい。死後硬直にしては遅すぎるし、ガスにしては早すぎる。担当医も泣くわけだ。
葬儀の時もマイクの異常や不思議な音、急に倒れる遺影など様々なことが起きた。葬儀に参列していた医療関係者は気が気じゃなかっただろう。

そんな恐ろしい祖父の死だが、親戚内での評価は真逆なものだった。
皆口々に「○○坊(祖父のあだ名)がしそうなことだ」「三つ子の魂百までとは言うが、死んでもいたずらっ子は治らないか」と笑っていた。
祖父は生前かなりのひょうきん爺さんで、おおらかな性格だった。孫の私から見てもトランプをすればイカサマをし、ついてもなんの得もないしょうもない嘘をつき、虫のおもちゃを人のカバンに忍ばせるようなお爺ちゃんだった。
きっと祖父のことだから恨みというよりはここで一つ驚かせてやろうといった具合だったのだろう。

火葬場では遺体を取り違えられかけ、骨を拾う時は叔母が「熱いから気をつけるんだよ」と子供達に言うとそれに応じるように骨が飛び出し、遺品整理や財産分与は後から後からリスのように至る所からヘソクリが見つかり、父が遺品のボイスレコーダーを拾いながら「もう少し早くこれを見つけてれば葬儀の時のお経を録音してやって贔屓の坊さんの声で毎日弔ってやれたんだけどな」と笑いながら再生するとその前にあった叔父の葬儀の時のものらしきお経が流れてくる、そんな最後まで忙しないイタズラ好きの祖父だった。

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コメント(1)
  • 病院の人はトラウマもん

    2024/06/02/10:36

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