【short_12】ベッドの下の殺人鬼

彼氏と一緒に怪談を見て楽しんでいた時の事。

「ねぇねぇ、この怪談怖い~。ベッドの下に包丁を持った殺人鬼が潜んでたんだって~」

「あぁ、これなんかテレビの再現モノでも見たことあるわ」
と彼氏が軽く流す。

「これって、包丁で下から刺そうとしてたのかしら??」

「いや、それは現実的じゃないな。ベッドの下なんてそれほど高さがないし、

せいぜい人が一人入れるかどうかくらいだろ?　だから包丁に力を入れてエイって突き刺すためには可動範囲が狭いっていうか、要は０距離で撃ち込まなきゃいけない。それにベッドに敷いてあるマットレスとか、けっこう分厚いし、スプリングもたくさん入ってて、包丁なんか思ったほど簡単には通らないよ。ましてやそこから人体を刺すなんてほぼ不可能だね」

「へぇ~。そこまで瞬時に想像できるなんて、頭いいのね。惚れ直しちゃった」

・・・そんな仲睦まじく思えたカップルにも別れの時が訪れた。

彼氏と寝ていたマットレスは、新しい物に交換したい・・・そう思った彼女は、
さっそく新しいマットレスを注文し、古いマットレスをベッドから引きはがした。

マットレスの裏は、まるで包丁で何度も突き刺したかのように穴だらけになっていた。

どうやらすでに実証済みだったようだ・・・。