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ヒトコワ

ねこじろうさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

深夜のテレビショッピング【素敵なアンチエイジング】
長編 2023/12/20 23:09 6,959view
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対して免許証の写真は腰がない白髪混じりの髪、化粧で誤魔化しているが顔にはシワや染みが見栄隠れしており疲れきった、どう見ても老人の容姿だ。
まあ無理をして共通点を探すと、顔の骨格は似ているかもしれない。

─整形でもしてるのか?
いや、それにしてもこの肌のきめ細かさは、、

これでは拉致があかないと思ったのか、大田は本人確認を諦めて事件の確認に移った。

「じゃあ楠田さん、今から我々の把握する事件の顛末を読み上げていくから、事実と違うところとかあったら言って欲しい」

楠田は頷いた。

「一昨日4月3日、日曜日の午後3時頃、あんたは自転車で自宅アパート近くのコンビニエンスストア『シックステン』に行った。
それから店前に自転車を停めると、しばらく店内を徘徊していた。
その後レジまで歩くといきなり、そこにいたバイトスタッフの男性星崎信二さんの胸元や腹部を、鋭利なナイフでめった刺しにした。

騒然とした店内から逃げだしたあんたは、現場から100メートルほどのところにある○○橋の欄干を超え5メートル下を流れる××川に身を投げようとしているところを取り押さえられ、警察に現行犯逮捕された。
事件の流れはおおざっぱにはこんな感じだが、何かおかしなところはないか?」

楠田は何も言わす、静かに頷いた。

「分かった。
それでは今から事件の背景を探っていくとしようか。
そもそも、あんた何でこんなことをしたんだ?」

大田の質問の後しばらく楠田は俯いていたが、やがて意を決したのか口を開き始めた。

「信二くんは私の人生にとって、かけがいのない癒しでありオアシスでした。
今から考えてみると、彼に出会う前までの私は喜びも潤いもない、人生の暗い路地裏を歩き続けていたのです。
高校を卒業した後、都内にある小さな商社に就職し経理課に配属され、定年になる65歳まで真面目にコツコツ勤めました。

その間何度か好きになった人もあったのですが縁に恵まれず、お付き合いにまでは至りませんでした。
定年後はローンで購入したマンションで、年金と預金を糧にひっそり暮らしてました」

「私の平凡な人生に転機が訪れたのは忘れもしない、今年の1月最後の日曜日のことです。
そう、その日は私の78回目の誕生日でした。
昼から隣町に買い物に行った駅からの帰り道に
突然の通り雨にあった私は、雨宿りするところが見つからず道の途中で途方に暮れていました」

「すると後ろから誰かが傘をかざしてくれました。
驚いて振り向くと、白いシャツに黒のブルゾン姿の長身の若い男の人が微笑みながら立っています。
この瞬間が間違いなく暗闇に閉ざされていた私の心に、一筋の光が射したときでした。
その後彼はコンビニのバイトの途中にも拘わらず、わざわざ私のマンションまで同伴してくれたのです。
それが信二くんでした。
何かお礼をと言う私に、彼は「ボク駅前のコンビニでバイトしてますから、また買い物にでも来てください」と笑顔で言い爽やかに立ち去ったのです」

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コメント(2)
  • オチが分かりませんでした。ただ同じ商品を使っていたという事でしょうか?でもそれだと別に気の毒ではないし…

    2023/12/26/14:28
  • 顔を若く整形しても、手と首でバレるからね。
    そんな商品通販で売ってたとしても買う人いるのかな?

    2024/01/10/02:05

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