鬼滅おじさん

「あのね、女性の方から被害があったってきてるの。市松模様のそれ着た男性に触られたって。あなたでしょ？他にいませんし。駅の構内で」

そこまで説明されて俺はふとある可能性に思い到った。

あの炭おじさんだ。

あの野郎、ホームに降りてくる前に駅構内で痴漢してやがった。
だからホームでもＯＬ風の女性に声を掛けてたんだ。
もしかして、一連の鬼滅ごっこは俺にこの羽織りを着させて罪を被せる為の芝居だったのか？

俺はすぐに「こ、これは炭おじさんが…！」と駅員に訴えたが駅員は「一先ずここでは他のお客様のご迷惑になるので、事務所までお願いします」の一点張りで、俺はまるで連行される犯人みたいに事務所まで連れていかれた。

まあ当然事務所にいってからは監視カメラで俺の無実はすぐに判明して駅員も謝ってくれたが、未だに炭おじさんへの怒りがおさまらない。

何が親友だバカ野郎。
てめえ、マジで次会ったら覚えとけ。
あと、鬼滅ちょっと嫌いになった。