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心霊

ねこじろうさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

不気味な同棲
長編 2023/03/21 16:23 7,434view
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「そんなとこに立ってないで、そこに座って」
と正面の席を薦めるので、言われるとおり座った。

目の前には取り皿や小鉢、グラスが一揃いある。

グラスには既にビールが注がれていた。

テーブルの真ん中辺りにはカセットコンロが置かれていて、その上に土鍋が乗っている。

火は未だ点いてなかった。

「久しぶりね」

そう言ってM代はひきつったような笑みを浮かべた。

2つの目が違う方を向いているのが不自然だ。

目の下にはくっきりと青い隈があった。

私は無理やり笑みを作りながら「そうね、本当に久しぶりね」と答えた。

そしてしばらく私たちはビールを飲みながら、当たり障りのない話をしていた。

すると話の途中唐突にM代が「あのね、今あの人シャワー浴びてるから、上がるまで鍋に具材を入れるの待ってね」と言い、土鍋の横に置かれた大皿に盛られた肉や野菜をチラリと見る。

「あの人って?」

恐る恐る私は尋ねた。

そしたら彼女は、
「なに言ってるのよ、涼太に決まってるじゃないの」と言って、またひきつったような奇妙な笑みを浮かべた。

相変わらず2つの目は私ではなく違う方を向いている。

ゾクリと背筋に冷たいものが走った。

私は思わず振り返ると、開け放たれたリビングのドアの向こうに目をやった。

薄暗い廊下沿いにある洗面所のドアは少し開き、そこから灯りが漏れていて、微かに流水音が聞こえてくる。

私が精一杯平静を装いながら「り、涼太ここにいるの?」と言うと、M代は「そう、あなたが来る5分くらい前に帰ってきてね、先にシャワー浴びるって言って浴室に入ったの」と当たり前のように言う。

気分の悪くなった私は「ちょっとお手洗い借りるよ」と言って立ち上がり廊下に出ると、リビングのドアを閉じる。

そしてトイレの前で軽く深呼吸をした後、隣にある部屋の前に立った。

少し開いている扉の隙間からはボウッと灯りが漏れていて、相変わらず流水音が漏れ聞こえてきている。

シャー――――――、、、

私は緊張しながら、そっと中を覗いた。

脱衣所の電気は消されているが、奥にある浴室入口の磨りガラスドアから漏れる明かりが、床の様をあからさまにしている。

見ると、男物の下着や洋服が乱暴に脱ぎ捨てられていた。

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コメント(3)
  • え?彼氏生きてんの?
    無敵じゃん。電車に勝つとかスゴいな

    2023/04/22/02:28
  • とんでもない世界に入り込んでしまったような怖さがありました。

    2023/05/07/17:16
  • よかったじゃん。彼氏生きてて。
    まぁ、俺も全身バラバラになる程度じゃ死なないからなー。

    2023/10/25/13:23

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