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心霊

minishoさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

夜中の訪問者
長編 2023/03/13 00:20 3,044view

音に反応して、ついつい覗いてしまいそうになりましたが、やっぱり見てはいけない。
と本能的に感じたので、ひたすら目をギュッと閉じて、音が止むのを待っていました。

ところが、後は音は遠ざかるどころか、だんだん近くなってきて、私達が寝ていた部屋の襖の辺りまで近づいてきました。
怖かったので両親を起こそうとも思いましたが、今起こしたら、襖の向こうの””誰か””に気づかれる。
そう思った私は、ひたすら目を閉じて時間が過ぎるのを待つしかありませんでした。

音が止むのと同時に、襖がスッと開く音がしました。
あぁ、見つかってしまった。この後何が起きるんだろう。
と恐怖と絶望を感じていると、私の枕元に誰かがいる気配を感じました。

突然優しい声で、「もう寝てるの?せっかく会いにきたのに残念ね。ちゃんと顔を見たかったよ。」と話しかけてくる声が聞こえました。
どこか聞き覚えのある優しい声。曽祖母の声にそっくりでした。

思わず目を開けてしまいそうになりましたが、似ているけど曽祖母の声ではないその声に、やはり寝たふりをしておこう。
と心に決め、そのまま無視していました。

すると、私の枕元からは気配が消えたのですが、私の家族一人一人の枕元で、私の両親、妹達に話しかけていくのです。
「お願いだから、誰も目を開けないで!」と心の中で叫びながら、寝たふりをしていました。

幸いにも誰も起きる事なく、事なきを得たと安心したのですが、再び私の元に気配がやってきて、「ねぇ、本当に寝てるの?聞こえてないの?」と大声で叫びながら、私のお腹に乗ってくるのです。
この時に、会いにきたのは絶対に曽祖母ではない。

何をされても目だけは開けてはいけない!
と感じた私は、頑なに目を閉じて、時間が過ぎるのを待ちました。

気づくと気絶してそのまま眠っていた私は、翌朝目が覚めて、泣きながら家族みんなが無事なのを確認しました。
夜中の出来事を話すと、強張った表情で、母と妹も、二階から誰かが降りてくる足跡、私達が寝ていた部屋の隣に気配を感じて、目を開けてはいけない!と思いながら寝たそうです。

起きてきた祖父母に、昨日の夜中に下に降りてきた?
と聞いてみたのですが、2人とも2階からは降りていない。
と言われました。

祖父母を怖がらせたくなかったので、この話は私と母、妹の3人だけの秘密にしています。

目を開ける事はなかったので、今でも私たちを訪ねてきた””誰か””の正体はわからないままです。
曽祖母の声に似た優しい声で話かけてきた事は覚えていますが、曽祖母ではなかったのも確かです。

あの時もし、目を開けていたら。
何が起こっていたのか想像するだけでもゾッとします。

この出来事以降も、お盆の時期や年末年始に、祖父母の家に泊まりに行っていますが、怖い体験はしていません。

あれは一体何だったのか。
今でも時々思い出して、考えてしまいます。

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