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心霊

takeさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

家の前に立つモノ
短編 2023/03/06 12:14 968view
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私が中学生の時の話です。
通学途中にある家の前に、黒い靄のようなものがあるのに気づきました。

最初は薄くてほとんど見えないくらいだったのですが、だんだんと濃くなっていって、
ぼんやりとした人の形のようになり、リーン、リーン、と鈴の音のようなものも聞こえ始めました。

あまり良さそうなものじゃないなあ、と思いつつ、無視を決め込んでいたのですが、
ある日妹が、
「ねえ兄ちゃん、学校に行く途中の家の前でなんか見えてない?」
と、訊いてきました。

中学校と小学校は逆方向になるので、小学生の妹はその家の前を普段は通らないのですが、

友達の家に遊びに行くときに、たまたま通りかかったらしいのです。

「うん、なんか黒い靄みたいなのだろ、鈴の音も聞こえるよ」
「ああ、そうなんだ……あれ、お坊さんだよ、笠かぶって鈴みたいなの鳴らして、あと、お茶碗? みたいなの持ってるよ」

私と妹は『霊感体質』ですが、妹の方がその力は上です。
私には黒い靄にしか見えなかったのですが、どうやら話を聞く限り、妹には托鉢僧に見えていたようです。
「なんなんだろうなあ……」
「さあ?」

その一ヶ月後、その家のお爺さんが亡くなり、それからは黒い靄を見かけなくなりました。

私と妹に見えていたものは『死神』だったのかもしれません。
死神はいろんな姿をしていると聞きますが、お坊さんの姿をした死神もいるんだなあ、と思い知った出来事でした。

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