ヨダソウが呼んだもの

ヤ１「こうならないように、気をつけろよ…真剣にやれよ…」
とか良いながら自然ともう一度の流れを作っていた。
もう面倒で仕方なかったが、儀式の二回目が始まった。
思ったより早く回復したヤ2君も交え、再度儀式が始まった。
またヤンキー1が祈りのようなものを言い終え、全員で目を閉じ
「「「「「「「ヨダソウ」」」」」」」
と言った。
さっき程ではないが沈黙が続いていると、スススッと布の擦れる音がした。
三人並んで円になっていたヤンキー組の方からだ。
目を開けかけて気絶した、と言うヤ２君の事も無視し目を微かに開けてみた。
其処にいたのは。我々の前に少しずつ暗闇の中で近づく安い鬼とかのお面を付けたヤンキーたちだった。
全てを理解した上で、「あぁ…」となったがすぐさま行動は起こされた。

ヤ123「「「わぁ！！！」」」
と一斉に大声を出し驚かせに来ていた。
驚いた様子を見せる友人たちを見ては真似て驚いた。
ヤンキーたちは電気を付けると満足そうに笑っていた。
ヤ２「いや～引っかかったな。これ、”ヨダソウ”って逆から読んだら”ウソダヨ”になるんだぜ～、おもしろいだろ～」
と自慢げなネタ晴らしと聞いてもない解説が始まっていた。
友人たちは唖然としていた。私はと言うと、途中で目を開け理解したは良いものの、何処か”ヨダソウ”の意味に気付けなかったのに悔しくなっていたのを覚えている。
どうやらこの様子をスマホで動画撮影していたらしく、その後は我々に「どうだった？ビビったか？」と感想を聞き始めた。本当に嫌だった。せめて撮影を辞めてほしかった。
が、当時流行っていた短い動画を投稿するサイトへ流す為だったらしくやめそうになかった。
こうして我々は何処かの動画サイトにて下らないドッキリ動画で顔出しネットデビューを飾る事となった。
その後、満足したヤンキー達はすぐさま他の生徒の部屋に行き、数分後にはまた「「「わぁ！！！」」」と言う声が聞こえたりした。
とても下らない時間ではあったが、これをキッカケに怖い話の話題となり、培った怖い話のネタの豊富さにより特に友人Cと仲良くなるきっかけになれたりしたが、それはまた別の話。

オチというか、本題に入る。
現代、つまり約八年程経った今になってそんな過去を思い出した。
何故思い出したのかと言うと、今も尚連絡を取り合っている友人Cより彼らの話を聞いたからだ。
それまで卒業後、何処で何をしているのかも知らない彼等だったがとあるキッカケで現在の彼等を知る事になった。
例の”ヨダソウ”の動画、つまりヤンキー1が投稿した我々の顔も声も載ったドッキリ動画は卒業後に実は削除されていたらしい。私は自分の声を録画録音越しに聞くのが嫌なタイプなので決して探したりしなかったが、友人Cは見ていたらしい。そして卒業後に更新されることは無かったという。
その原因の一つとして挙げられたのが、その動画に変なのが映っていたからだとか。
と言っても映っていたらしいのは私達の動画ではない。私達のドッキリの後にあと3部屋回って同じドッキリをしていたため、その他の部屋で撮影されていたものに映っていたという。
映っていたというのは、人の顔だったらしい。中年のおじさんみたいな顔。
その部屋には我々同様部屋を与えられた生徒4人とヤンキー達3人だけ。15,6歳の若人ならいたが、中年の男性なんているはずがないのだが脅かすネタ晴らしの時の映像で映っていたらしい。
目を閉じた騙されている4人の隙間、後ろから中年男の横顔が此方を見ているようだったと。
動画のコメントでは同級生たちにより初めの頃、同じクラスの同級生の顔に似ていると笑い話に使われていたがその生徒は別の部屋だったため有り得なく、真実は有耶無耶になっていた。
その後、卒業後に削除された動画。実はヤンキー1君の車事故がキッカケで削除となった。