強行遠足２年目の死 (加筆修正版)

そんな2回目の強行遠足も死ぬ思いでようやく完走し、
ぐったりしながら帰宅のバスに乗りました。
バス内では疲れて泥のように眠ってしまいました。
だから、帰り道の途中であんな恐ろしいことがあったなんて気が付かなかったのです。

家に帰ってからも体力ゼロで、ぐったりとソファに寝そべりながらテレビのニュースを見ていました。
もしかしたらあの崖から転落したクルマのニュースでもやるんじゃないかと思ったからです。
そしたら案の定、支笏湖へ向かう峠で事故があったというニュースが流れてきました。
　

ハッとしてテレビ画面に向き直ると、それは意外な内容でした。

まず、その事故はクルマではなく、バイク事故に関する内容でした。
バイクが崖下に転落、即死…。そう、彼です。S君です。
あの見せつけるように走り回っていた彼、あんなに元気そうに人を煽っていた彼が、
例の崖下に落ちたクルマと同じ場所に落ちて死んでいたのです。
警察がいる目の前での事故だそうです。
…もしかしたら警察に止められそうになって慌てたとか?

ニュースはつづけてもうひとつの事故も流し始めました。

例の崖下のクルマについてです。
警官が偶然発見したことになっていましたが、あのクルマには
５年前に行方不明となっていた４人家族の白骨遺体があったそうです。

…なんてことでしょう。5年も放置されていたなんて…。
ボクはあのクルマを１年も前に発見していたのに、通報もせず、
疲れて忘れてそのままにしていたことを悔やみました。
もしも昨年のうちに通報していれば、S君だって連れていかれずに済んだかもしれないのに。
間接的かもしれませんが、結果的にS君を殺したのはボクだったのかもしれません。