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心霊

カンニバルさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

不思議な流木
長編 2022/10/11 23:45 3,436view

ふと目を開けると私は通い慣れた砂浜に立っていました。
周りは霧でうっそうとしており冷たい空気が肌を刺します。
普段から釣りポイントを覚えるために背後の景色を目に焼き付けているので自分が立っている場所は容易に把握出来ました。
遠くから砂を掘る音が聞こえたので私は導かれるように足を向けました。
防風林として植えられている松林に着くと遠くに人影が見えました。
がたいの良い男性がスコップで穴を掘っています。
脇にはジーンズに黄色いシャツを着たあの女性が寝かされています。
全身血まみれで切り落とされた腕が胸の上に置かれていました。
男性は女性を穴に引き込んでそのまま埋めてしまったのです。
焦っていたのか腕が転がり落ちたのを気付かなかった様で慌ててもう一つ穴を掘って埋めました。

ピピピッというアラーム音が鳴りここで目が覚めました。

私は会社に体調が悪いと嘘をついて会社を休み流木を大事にタオルで包んでバックにしまうと砂浜に向かいました。
平日なので釣り人は誰もいません。
夢で見た松林に向かうとカラカラに干からびた花束とジュースがお供えされていました。
普段は釣りをしていても松林に足を向ける事が無いので気がつきませんでした。
夢で見たことが事実ならばここから5m離れた松の木の根元に女性の腕があるはずです。
スコップを持ってくることうっかり忘れた私は落ちている木の枝で地面を掘り返しました。
辺りとは違って柔らかい部分があったので必死に掘り続けました。
すると黄色い布が出てきたのです。
間違い無くあの女性が来ていたシャツです。

流木に付いた破片を照らし合わせると生地の質がそっくりです。
そっとシャツを引き上げると白い骨のようなものが見えました。
「やっと見つかった・・・ありがとう」
ハッキリと女性の声がしました。
流木を取り出すためにバックのファスナーを開けるとそこにはタオルだけが入っていました。
直ぐに警察を呼んで事情を説明し砂を掘り返すと女性の白骨化した腕が出てきたのです。
犯人は女性の交際相手ですでに殺人容疑を認めて逮捕されています。
私は疑われる事は無かったのですが全く話を信じて貰えませんでした。
そんな事よりもあの女性の役に立てたことが嬉しかったです。
この日からあの流木を見ていませんし女性の声も聞いていません。

3/4
コメント(2)
  • 際どいお話ですね。

    2022/10/12/22:02
  • 怖くて悲しく切ないです。

    2022/10/12/22:59

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