死者が招いた？日本最大の水死事故

私の地元は海水浴が盛んな地域です。

しかしある事故をきっかけに事故現場一帯の海岸は海遊禁止となりました。

６０年以上前のお話となりますが、７月になると地元のお年寄り達は口を揃えてこう言います。

「海に泳ぎに行くな。引っ張られるぞ」

事故があった７月２８日は、地元の中学校で全学年６００人以上が参加する水泳講習が行われていましたが、突然岸から１０メートル離れた場所で高波が起こり女性グループの４３人がさらわれ３６人が亡くなる痛ましい事故に発展しました。

突然の出来事に足を奪われ慌てて先生にしがみ付く者や、手をあげて沈んでゆく者の姿で、この世の終わりのような光景だったそうです。

また、この事故で生き残った元生徒の手記には「友達が一人一人吸い込まれるように波間に姿を消していく中、水面からこちらに向かって黒い塊が泳いできます。

あれは間違いなく、頭に水を吸い込んだ防空頭巾をかぶり、モンペをはいた何十人という女性の姿でした。

逃げようとする私の足をその手で掴まれた後は一瞬でした」と恐ろしい怪異現象が綴ってありました。

ちょうど１０年前の同じ７月２８日に、戦争によって米軍による焼き討ちで２５０人が殺されており火葬しきれない死体は、この海岸に穴を掘って埋めたという話もあります。

事故から１年たったのち浜辺の片隅には多くの死者が安らかに眠れるよう海の女神像も建てられました。

この海岸を彷徨っている幽霊がまだいるのであれば、時間をかけてでも旅立ってくれることを願うばかりです。