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不思議体験

ぴさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

名前のない図書館
短編 2022/08/21 18:30 2,968view
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その日、私は友達の家から帰る途中でした。

いつもは国道沿いの道を通って帰るのですが、その日は脇道があるのが目につき、そこを通ってみようと思ったのです。

すごく細い道でしたが、しっかり塗装されたきれいな道でした。

そしてその道を通っていくと、見たこともない図書館を見つけたのです。

これまで一度も来たことがない図書館で、私は気になりました。

空を見上げるとまだ暗くなるには早かったし、私はその図書館に入ってみたのです。

図書館はとても静かでガランとしていました。人の気配が本当になくて、入っていいのか戸惑いました。

でも奥のほうで何か物音がしていたので、私は進んでみることにしたのです。

スリッパに履き替えて、受付に声をかけようとしたけど、そこにも人気はなかったです。

ただ思った以上に中は広くて、蔵書がたくさんありました。

目を輝かせて本を見ると不思議なことにどの本にも題名が書いていなかったです。

なんだか異世界に迷いこんだような気になって、本の中身を見てみようと思いました。

ページを開こうとしたら、またあの物音が大きく響いたのです。

音は「カーン」という何かを叩くような音でした。

音が大きいせいで図書館に響いて、本をめくるよりもそっちが気になりました。

私は本をめくる手を止め、元の棚に戻して、そっちに向かっていったのです。

音の出どころを探ってみると、閉まっている扉が見えました。

私は音が気になりすぎて、その扉を開こうとしました。その寸前に私は引き止められたのです。

振り向いたら、相手はおじさんでした。その人に「そっちに行っちゃだめだよ」と引き戻されたのです。

そのおじさんは私に「今日は閉館の日だから普通の子供は入れないよ」とやんわり怒られました。

私には見えていなかったのですが、確かに入り口に「閉館」という立て札が置いてありました。

仕方なく私は図書館を出ていきました。そしたらなぜか外が真っ暗になっていて、時間を確認したら夜の7時になっていて驚きました。

ほんのわずかしかいなかったはずなのに時間が2時間以上経過していて、何かの間違いかと思いました。

私は自分の自転車を手に、もう一度だけ入り口を見ました。あのおじさんはもういませんでした。

そして図書館の名前を見てみたけど、どこにも名前が書いていないことに気が付きました。

名前がない図書館なんて見たことがありません。

私は何か怖くなってきて、真っ暗な中、急いで自転車で家に帰ったのです。

あくる日に、もう一度あの図書館に行こうとしたのですが、行くことができなかったです。

あの日通ったはずの脇道がどうしても見つからなかったからです。

母に聞いたのですが、昔あの辺りに図書館があったことは事実みたいです。

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