鈴木君の黒歴史
投稿者:with (43)
長編
2022/08/05
12:35
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「鈴木君元気にしてるかな?」と友達に聞いた所、どうやら大学進学以降は地元に戻る事が少ないらしく、殆ど近況が分からないそうだ。
まあ、俺が鈴木君の立場だったらこんな黒歴史が広がった地元には二度と戻りたくないだろうと思い、鈴木君の事はそっとしておくことにした。
そして最後に、俺がもう一つずっと気になっていた事があったので、その友達ついでに聞いてみる。
「そう言えば、あの時音楽室で逃げてたけど、何があったの?俺は皆に合わせて逃げたんだけど」
「ああ、それね」
友達はちょっと含みのある間を置いて話し始める。
「音楽室の奥に楽器室あんじゃん?そこに入ったらさ、窓辺側に逆さづりの女が急に現れたからビビって逃げたんだよ」
「え?」
「いやーあれはマジで怖かった」
友達は本当に怖いと思っているのか分からない笑みを浮かべたが、腕を摩っていた事から思い出して鳥肌が立ったのだろう。
「今思えば暗くて人かどうかも分かんなかったから、もしかしたらモップとかと見間違えたんかな?」
友達は高笑いしながら腕時計を見て、「じゃあ、また今度落ち着いて飲み明かそうぜ」と言って颯爽と立ち去って行った。
友達が目撃した逆さづりの女が怪談の幽霊なのかは分からないが、俺はそれ以上に鈴木君に会ってみたいと思いつつ、友達の後ろ姿を黙って見送った。
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ネタかと思ったら普通に怖くて草
いつも楽しみにしながら読ませてもらってます!有り難う!
なんかワロタけど怖い
霊は不浄なものを嫌うというが…
時間が経ってるとはいえ友達冷静だな