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ヒトコワ

レイレサさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

地獄から天国へ、落ちていく私のココロ
長編 2022/08/01 20:04 9,413view
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元ゲーム友達エイコ(仮名)とはとても仲が良かったが、あるトラブルがきっかけで疎遠になってしまった。
そのトラブルというのが恋愛絡みだった。

私には男盗賊を操作していた伊藤君(仮名)という相方が居た。
ゲーム内だけの関係ではなく、ネット恋愛にまで発展していた。
当時孤独な環境に身を置いていた私には砂漠のオアシスのような癒し的存在の伊藤君にかなりお熱をあげていた。

彼もまた私のことを気に入ってくれたようで、落ち着いていて話が出来るお姉さんみたいだと言ってくれた。

伊藤君の性格は沖君のように誰とでもすぐに仲良くなれる青年で人当たりも良く、困っている人を見過ごせないような優しい人だった。

優しいが故に時として誤解を招く行動もあった。

レベル上げに困っている人をすぐに助けてしまうお人好しで、それが男であろうが女であろうがお構いなしだ。

たぶん、みんなで仲良くゲームをしたいという単純な理由だと思う。

しかし、伊藤君に惚れ込んでいた私は嫉妬心から他の女性ユーザーと一緒に遊んでいるところを目撃した日には酷く心が荒れてしまっていた。
伊藤君のことをレベル上げ目的で利用するために近づいていた綿子さん(仮名)という女性ユーザーに対しても「綿子さんは伊藤君に迫ってる!許せない!」と毎日のようにイライラしては不機嫌オーラを出していた。

時々伊藤君に「なんであの人と一緒に遊んでいるの!?相方は私でしょ!」と文句を言うことがあり、徐々に伊藤君は私のことを避けるようになった。

一番仲の良かったエイコに愚痴を聞いてもらっていたのだが、「綿子はレベル上げに伊藤君を利用してるだけだから気にするのやめなよ」といつもなだめてくれていた。

どんなに説得されても私の気持ちは段々ヒートアップしてしまい、とうとう伊藤君と喧嘩別れをしてしまった。
間に入って愚痴を聞いてくれたエイコとも喧嘩をしてしまい、結局は彼らの所属するギルドから逃げ出してしまった過去があった。

今思えば恥ずかしい話である。
利用できるものは何でも利用してしまう強かな綿子の性格をよくわかっていたが、恋愛感情があると冷静な判断が出来なくなってしまう。

もう穴があったら入りたいくらいだ。

私はある程度話し終えると沖君の言葉を待った。
沖君の口からは意外な言葉が出てきた。

沖「実は、俺も似たような経験があるぜ」

私「そうなの?」

沖「あぁ、恋愛絡みで喧嘩別れした元相方が居たんだよ」

沖「最初はそれなりに仲が良かったんだが、ある日、元相方が他の男性ユーザーと仲良くしていたのを見てしまってから嫉妬して喧嘩になってね」

私「特定の異性と仲良くしていたの?」

沖「元相方はただの友達だと主張していたけれど、結構仲良さそうだったから不安だったんだよ」

私「それ分かる・・・」

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