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心霊

したださんさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

病院からついてきた足
短編 2022/07/05 19:55 886view
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私が看護師の友人の家に泊まりにいった時の話です。

当時すでにベテラン看護師になって「もうスプラッタ系ホラーとか全然怖くない」と肝の座り切って頼もしくなった友人と、久しぶりにだらだらとお喋りをして12時。そろそろ寝ようということで電気を消して、友人はベッドに、私は友人のアパートに添えつけられたロフトに潜り込みました。

それから2時間ほど眠った後、私はトイレに行きたくなってロフトを下りました。すると、トイレのある玄関のほうからなにやらぺたぺたと音がするんです。最初は友人もトイレに行ってるのかな、と思ったんですが、見れば友人はベッドの上で爆睡中。

ではこのペタペタ音は一体?どこかで水漏れでも起こしているのか。でも水音というよりもやっぱり足音な気が…。

そう思いながら、かといってそのままトイレを我慢するわけにもいかず、意を決して玄関に続くドアを開けたんです。すると、玄関の前にぼんやりと白いものが2つ浮かび上がっていました。細長くて50㎝ほどのそれは、一見するとブーツのようでした。

が、下に目を向ければ指がついています。

足でした。裸足の。

膝上で切り取られた裸足の足は、私がドアを開けたことに気付いたのか、ぺたぺたとこっちに向かってやってきました。一瞬固まっていた私でしたが、目の前に迫った足を見て、慌ててドアを閉めました。するとペタペタ音はこちらに入れないことが気に入らないのか、玄関からドアの前までを行ったり来たりしたり、ドアの前で足踏みをしたりしるらしく、激しくペタペタを足音を立てていました。

私はどうすれば良いのかわからず、とにかく爆睡中の友人に飛び掛かって「起きて!足が!足がいる!」と叫びました。何度も何度も友人を揺さぶって叫んで、ようやく友人が目を覚ましたころにはペタペタ音は消えていました。とりあえず友人に、今しがた見たものを伝えると、彼女はしばらくぼーっとしていましたが、やがて「あー」と声をあげました。

「そういえば3日目の夜勤の時、病院で足だけが歩いてるの見たわー」

ついてきちゃったのか―、とあっけらかんとして言う友人は、あの足はたぶん事故で足を失った状態で運ばれてきた人のものだろうと説明してくれました。持ち主はもう亡くなっていて足だけがさまよっているんだろう、と。悪さはしないから放っておいて問題はない、と。

「病院ではよくあるんだよね、こういうおかしなこと」

何でもないことのように言う友人に、ベテランの看護師ってこんなものなのか、と呆れるやら感心するやらしていると、でも、と友人は続けました。

「あの足、それぞれ別の人のものっぽいんだよね。前は一本足だったし。こないだやっぱり足を失くした状態で亡くなった人がいて、その時から2本足になったっぽい」

それを聞いて、ぞっとしました。

それってつまり、パーツが増えていくかもしれないってことじゃ…。

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コメント(1)
  • 看護師は強し、ですよね

    2022/07/05/21:31

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