神様って本当にいるんだよ

東北出身の友人に聞いた話です。

その友人の地元に、小さな寂れた神社があったそうです。

そこは子供達のあそび場所となっていて、ある日、またいつものようにそこで遊んでいたときに、神社の天井の梁に何か文字が書いてあることに気づいたそうです。

薄暗いなか目をこらして見てみると、「あの人を連れて行ってくださり、ありがとうございました」という文章がいくつも書いてありました。

それから何年か経って、美容師になるために東京にある専門学校に通い始めたのですが、あるとき、いとこのお姉さんのKさんの旦那さんが亡くなったということで、葬式に出るために久しぶりに地元に帰ったそうです。

ですが葬式の最中でもあまり悲しめませんでした。

というのも、その旦那さんというのが、酒を飲んではKさんに暴力をふるうような人だったからです。

葬式も終わり、地元を懐かしみながら散歩をしていたら、神社の前に来ました。

ふと、まだあの文字があるのか気になって天井を見上げてみたら、まだあったそうです。

薄気味悪いなと思いながらしばらく眺めていると、新しい書き込みがあることに気づいたそうです。それは何度かみたことのある、いとこのお姉さんの字に似た字で、「あの人を連れて行ってくださり、ありがとうございました」と書いてあったそうです。

東京に帰る前に、Kさんの家による機会があったので、そのときに冗談っぽく、「あの神社で変な願掛けしてないよね」と聞いたら、クスリとも笑わずに、真っ直ぐにこちらを見つめて「神様って本当にいるんだよ」といってきたそうです。