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心霊

ぴさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

後を追うように開く自動ドア
短編 2022/06/22 13:03 832view

私が前に勤めていた病院は、とても古びていて少し雰囲気がありました。また建物だけではなく、夜な夜な出歩くおじいさんの幽霊とか病室のベッドからすすり泣く声が聞こえるとか怖い話がいくつもありました。私は医療事務の臨時のお仕事をしていたので、そんな噂は聞いても夜遅くまで病院で働くことがなく、そのような心霊体験をすることはなかったです。ただ一度だけすごく不思議な体験をしました。

それは夕方の4時半くらいだったと思います。年を取って杖をついたおじいさんが病院にやってきて、受付の前にある自動ドアが開きました。そこまでは通常通りなのですが、その数分後にまた自動ドアが何かに反応して開いたのです。私は誰かが入ってくると身構えたのですが、誰も入ってきません。その日は全く風がない静かな日で、自動ドアが何かに反応するようなことも考えられなかったです。

目の前で起こった気味の悪い現象に「今の何?」と窓口はちょっとざわめきます。その後も事務員同士で、「さっきの何だったんだろうね」なんていろいろと噂していたのです。そうしていたらさきほどの杖をついたおじいさんが窓口に薬をもらいに来ました。私が会計してお支払いをしてもらうとおじいさんは頭を下げて帰っていきました。

そうしておじいさんが自動ドアから出て行って数分経った頃に、また目の前の自動ドアが誰もいないのにスーッと開いたのです。内心ギャーって思いました。また人が通ってもいないのに何かを感知した自動ドアが開閉したのです。

その日はその話で受付は持ちきりになりました。まるでおじいさんの後を追うように開いたあの自動ドア。おじいさんの知り合いという看護婦さんに話を聞くとそのおじいさんにはいつも一緒のおばあさんがいました。しかし数日前に、おばあさんは癌で亡くなったんだそうです。もしかしたらおばあさんはまだその辺を彷徨っているのかもね~なんて話して、鳥肌を立てたことをすごく覚えています。

看護婦さんは「夜勤するとこんなこといっぱいあるよ」と言っていました。医療事務で良かったと心から思った瞬間です。

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