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不思議体験

舞姫さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

同級生を名乗る人
長編 2022/06/09 17:12 4,399view

隣の敷地の駐車場近く、しかも歩道の真ん中という唐突な場所でありながら、T君は即座に青いビニールシートのような物で私たち3人の上を覆うと屈んで、邪悪な存在を遮断しました。
このようにシートを隙間なく被り、丈を低くすることにより、相手に気付かれなければ大丈夫らしいのです。
全くもって唐突でナンセンス、もっと別な場所でそうしても良いはずなのですが、あともう少しの距離だからとこの初動を取り損なって惨死した人はこれまで多数おり後を絶たないくらいなため、的確な判断でした。

しかしこのままもう、日が暮れてしまう…。
春めいた日とはいえ、一晩中目的地を目の前にしてこの場所でやり過ごすのかと思うと、優柔不断であった自分がまきこんでしまったことを申し訳ない気持ちでいっぱいになっていました。
いくら夢の中とはいえかなり変な場所なはずなのですが、皆の様子は今回は特別運が悪かったけれども、このようなことはよく起きることで、むしろ手際よく安全を確保できたようでした。

翌朝すぐに複合施設内に入ると、そこは地下1、2階が賑やかな商業施設、上の1、2階が役所となっており、私は2階で勤務していたようです。
普段は賑やかな商業施設ゾーンに足を踏み入れたところ、想像以上に辺りは血の海でした。
フロアのいたるところ、通路などに人が血まみれのまま横たわっています。
物凄い血のキツい臭いが鼻を突いてぞっとします。

あまりにも多数の犠牲者に、対処が追い付かないようでした。
ふとフロアの端の方に目をやると、屋台のような出店があり、こんな状況でも営業をしている商魂たくましい人がいあたため驚いていると、そのお店の比較的若い男の人と目が合いました。

やや顔色悪く複雑な表情を浮かべたその人が、「…同級生だから。」とやや苦々しく声をかけられました。
確かにその顔には見覚えがあり、夢の中の自分は同級生と認識したようです。
現実での自分の記憶には似た感じ人は人はいましたが、別人だなと考えていました。
どちらにせよ、顔は知っているくらいの人物のようでした。

夢から覚めると、随分長くてリアルな夢だったな…と自分なりに考えてみた結果が、並行世界の出来事という結論でしたが、やはり濃い夢だろうと思い直しました。
血の臭いがリアル過ぎて現実と見まがうものの、自分は殺人現場などに居合わせたことがなくわかりませんが、実際はもっと違う物凄い臭いのはずです。

ただし、現実では殺人事件などの現場にはよくブルーシートがかぶせられて視界を遮られていますが、この夢を見てからは、現実の世界でも、あの煙のような邪悪な存在はもしかしたらいて、それほど強力ではないものの、何らかのきっかけで人の精神に作用してしまうのかも知れないなどと想像してしまいました。
よく穏やかなひとがかっとなって突然という事件がよくあります。

でも夢だ夢!
長い長い夢の話だわ…と、そのことを忘れた数日か1週間くらいたった頃にギョッとすることが起きました。
いつも通り勤務を終え、駅近くの繁華街、大勢の人がアーケードの下を行きかう中、一人の男の人が遠くからこちらを見て、ずっと立ち止まっていました。
徐々に近づくにつれ、ニヤニヤともはにかむとも言えないような笑いを浮かべていたその人は、夢の中で出会った商業施設内の屋台らしき店主の男性、自分の同級生を名乗る人でした。

もちろん、何だか見覚えはありましたが、同級生にしては、自分より年齢がかなり若く見えます。
見覚えがあるのですが、本当にいる子供の頃の同級生とは別人です。
なぜかどこかで会いませんでした?という言葉話は出てくることなく、決まり悪くその場をすれ違いました。
だいぶたってから、そう言えば15年くらい前に同僚とは言っても隣の部署で話したこともないような人に良く似ていると思い出しましたが、そうだとするとかなり若見えの印象です。

ちなみに、その人とはま1~2年後に遠くから顔を少し合わせるような感じですれ違っています。
その時は女性と一緒で、笑っていませんでした。

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