正体不明の犯人

私は窓をじっと見ていました。そしたら窓の外の影が動いていることに気づき、ぎょっとしました。

すぐにお風呂から出ようとしました。

だけどあまりの恐怖に体が固まって動けなかったです。

私は金縛りにあったかのように、身動きできなくなり、パニックになりました。

そしたらさらなる恐怖が私を驚かしました。閉めてあるはずの窓が勝手に開き始めたのです。

そして窓が開いた隙間からぎょろっとしたあの目と目が合って、全身鳥肌が立つようなぞっとする感覚を味わいました。

多分窓が開いていたのは数秒か多くても数分だったと思います。

ぴしゃんという音を立て、勝手に窓が閉まったと思ったらその瞬間に私の金縛りが解けました。

すぐに私はお風呂から出て、寝室で震えました。

女一人で犯人を追いかけるだなんて、到底そんな勇気はありませんでした。

この日が正体不明の覗き犯に最も恐怖した夜でした。

出張から帰ってきた彼にその話をすると、すごく心配されました。

しかし、彼が確認しにいくと、お風呂場の窓はしっかり施錠されていたのです。

腰を抜かしそうになりながら、お風呂を出た私が冷静に鍵をかけた記憶はありません。

さらにそういえば、彼が心配して鍵をかけていったことを思い出したのです。

だったらあの日窓が開いたのはどういう原理だったのでしょうか。

私は彼との同棲が嫌だったからではなく、身の危険を感じて、それからしばらくして彼の家を出ました。

理由は怖くなったからです。

彼の知人から、昔そういえば覗きを苦に自殺した男が近くに住んでいたという噂話を聞きました。

その人は人生で一度っきりした覗きがバレ、そのせいで仕事も家族も失ったそうです。

そしてそれを苦にお酒やギャンブルに溺れ、最終的には借金を作り、首つり自殺を図って自殺したと聞きました。

後で調べてもらって分かったのですが、外から窓を覗くためにはかなりの高身長が必要らしく、人間には無理と言われました。

それにあの隙間に入ることもほとんど無理なんだそうです。

私を覗き犯と二度も目が合いましたが、死んだような生気のない目をしていました。

私を覗いていたのは生きている人じゃなかったのだと思っています。

そしてこの恐怖体験をするきっかけになったあの手紙の送り主も最後まで分からなくて、それも気持ち悪かったです。

今も思い出すとぞわっと体中に鳥肌が立つような出来事でした。