嘘つき男の本性

D男が無断欠勤をしてしまった。

５日連続で無断欠勤をした。

班長は何度か電話をしたのだが、彼は出てくれなかった。

さすがにこれでは困ると思ったようで、店長に事情を説明してＤ男の住む家に行ってもらったそうだ。

Ｄ男の家のポストに連絡をして欲しいという手紙を入れたのだが、Ｄ男からは一切連絡がなかった。

それから数日経った。

職場に電話がかかってきた。

電話の主は女性だった。

「Ｄ男は今そこに居ますか？」と尋ねてきた。

電話に出た班長はＤ男はずっと仕事を休んでいることを教えた。

電話の主とＤ男の関係も聞いたようだ。

「私、Ｄ男の姉です」

「職場の経営者が変わって異動になったと聞いたんですが、本当ですか？」

班長は唖然とした。

職場の経営者は変わっていない。

D男には異動の話は来ていないし、そもそも無断欠勤を理由に退職扱いにすると店長は言っていたらしい。

班長はD姉にこれまでの経緯を説明した。

「Ｄ男と私は実家暮らしなんですが、弟は一度も熱を出したことありませんよ」

「ごめんなさい、熱を出したというのは嘘です」

Ｄ男が熱を出して休んだことがここで嘘であることが判明した。

そのあとD姉は黙って電話を切ってしまったようだった。

以上がAさんの職場で本当にあったヒトコワ話である。

何が怖いのかというと、嘘をついてまで仕事をさぼったD男もそうだが、わざわざ職場まで確認をしてきたD姉も怖いと思ったらしい。

そこまでするということは、D男は家族にすら嘘をついて騙しているからかもしれないが。

D男は一体なぜ嘘をついてまで仕事をさぼったのか。