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不思議体験

舞姫さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

数十年たって気がつく不思議体験の怖い側面
長編 2022/03/30 17:39 3,094view

先日、「秋田県の白神山地のシンボルであった樹齢400年とおみられるブナの大木が終に倒れた」というローカルニュースに目がとまりました。

通常250年ほどの木の寿命をはるかに超えるそのブナの大木は、1999年の台風以来衰えはじめ、ついに今年の雪害でついえた模様です。

…今年は、あちこちの伝説の石や岩がパックリ割れるなど相つで起きでおり、偶然とはいえ災害・戦争などがつづいている中、意味深に思えてなりませんでした。

と、そこまでならよくある興味を引きがちな怪奇的な不思議現象の一つなのですが、少し興味を持ちその大木の在りし日の画像を拡大して見たところ、ちょっとドキリとしました。

立派な枝ぶりと太い幹、そしてその周りに広がる下草の生えた小さな空き地のような他の木立に囲まれた空間。

大木の周辺というものは、皆そのようなものだと想像するにたやすいことなのですが、この光景、なぜか凄く見たことあるというか、記憶が割と鮮明…。

時を遡ること数十年前、まだ自分が高校生だった時の事です。

近辺は、新興住宅地化が進む地域でありながら、数十年後の今をもってしても自然が多く残る郊外です。

なかなか宅地化が進まないのは、鉄道の駅から遠いという立地もありますが、雑木林の山を崩して造成をすると、小さな古墳などが結構石棺と共に発見されることも多く、発掘が始まってしまい、なかなか思うように宅地化が進まないこともあるようです。

実際、家のまわりには、さびれた公園化した古墳の後地のような祠や石碑軍がひっそり残っており手つかずで残っています。

さて、前置きが長くなりましたが、当時高校生の私達は、体育の時間に非常に珍しく課外授業となりました。

体育は、男子・女子別れての授業で、3クラスほどが一緒、内容はジョギング程度のマラソンでした。

走る場所は、学校から少し離れた雑木林だった小高い丘なのですが、急速に宅地開発が進んでいた場所で、小高い山の様な丘陵を左右から削り取り切り立った崖にある1本道のようなところでした。

やだ~怖い!
非常に見通しが良く高い場所に、なぜか、木立に囲まれた細い散歩道のような道だけがとり残され、左右が切り立った崖という変な状態の場所に皆が危険を感じ嫌がりました。

しかし引率する先生は、いや、この間ここを走ったら、凄く気持ちよかったんだよ!

ここから見ると崖っぷちだけれど、中に入ると左右広くて横にそれて外を見に行かなければ大丈夫、意外と広いよ。

今行かないと、もうすぐこの自然も潰されてしまうから、見ておいた方が良い、本当にもったいない場所なんだと、ほぼ強引に嫌がる女子生徒たちを連れて走ることになりました。

この時点で、今だったら危機管理的にアウトなのですが、当時の田舎はのどかなもんです。

いざ、道のある木立の中に入っていくと、本当に狭くもなく広くもなく、人二人が並走できるほどの道幅に、左右木立に囲まれており、その先が切り崩された崖になっているとは到底思いません。

しかし、先を行く先生からは、何度も、左右にそれて外を見に行くなよ、急な崖だからな、危ないからな!真っすぐ走れよ!と声がかかります。

長い道のりでしたが、春先の空気も良く寒くも暑くもなく、気持ちよくしばらく走った中ほどで、左側からふいに声がかかりました。

ねえ、ちょっとこっちに来て!

何度も引き留めるように声がかかるので見ると、左側の木立の奥に、6~8人ほどの生徒の姿が見えました。

遅れてしまう事に焦りを感じ、先を急ぐ私をなおも強く引き留めたのは、そこにすごく綺麗な藤の花が満開で咲いているからという理由でした。

面倒くさいなあと、しかたなく形ばかり、数歩脇に足を踏み込むと、狭い空き地のような空間が広がっており、その中心に驚くほど太くて大きな大木が高くそびえ立ち、さらにはその幹や枝に薄紫の藤の花が巻き付いて開花し、あたり一面が薄紫色になるくらいの藤が垂れ下がりながら満開となっている光景が広がっていました。

神々しいばかりの光景にあっけにとられた私に対し、奇麗でしょう!と言うその人と、あたりにも数人が見上げたり気の周りに生徒たちがうろついていました。

そこまで走ってきた場所にはたくさんの木立がありましたが、このような大木が生えているのは、少しスペース的にも周囲の木の樹齢的にも不自然な光景でもありました。

声をかけてきた子は、ねえ、太い幹の裏側にも回って見ない?皆そうしてるよ、となおも声をかけてきました(実際2~3人がそのようにしていた)が、足の遅かった私は、取り残されて遅れることを怖れ、もっと見ていたい光景への誘惑を振り切ると、来た道に戻り残りを走り抜けました。

走り終えた終盤付近では、先生と他の生徒1~2名が既に到着して立って待っており、そこで先生が自分に珍しく声をかけてきました。

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