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呪い・祟り

足が太いさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

豹変した真面目な同僚
長編 2022/03/15 22:27 4,834view
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ある時、Aと一緒に出張へ行くことになったのですが、出張先まで向かう新幹線の中で乗客同士のトラブルが起こったのです。
どうやら柄の悪い乗客が、大人しそうな乗客に絡んでいて、ハラハラしながら見ていると、柄の悪い乗客が近くの席にいたAに目を付けて絡んできました。
Aが無視していると、柄の悪い乗客はそれにむかついたのかAの胸倉を掴み、至近距離で怒鳴り始めたのです。

Aが殴られると思い、車掌さんを呼びに行こうとした時、Aが柄の悪い乗客の耳元で何か囁きました。
すると、さっきまで威勢よく怒鳴っていた柄の悪い乗客は急に顔色を青くして、ガタガタ震えながら他の車両へと逃げて行ったのです。
驚いて、Aに「何を言ったんですか?」と聞くと、Aはあっさりと「呪いをかけた」を言いました。

A「呪いをかけたんだ」

私「の、呪い、ですか?あはは、まさかそんな…。Aさんってオカルトとか信じるタイプですか?」
A「…そうではないけど、まぁ、あるところにはあるんだよ、呪いは。俺も最初は信じなかったんだけど、『****お(聞き取れない単語でした)』様のおかげで俺は呪いをかけられるようになったんだ。さっきのあいつ、どうなると思う?」
私「…どうなるんですか?」
A「前上司と、Bだっけ?そいつらと同じ目に遭うよ。いやぁ、楽しみだなぁ。俺にあんなことしてくるからこうなるんだ、俺にあんなことしてくるから…。俺は悪くない、俺は悪くない、俺は悪くない…あいつらが全部悪いんだ、いい気味だ」

冷たい表情でそう言うと、Aは「これ以上話すことはない」と言わんばかりにイヤホンを付け、腕を組んで目を瞑ってしまいました。
Aが呪いをかけられる、というのは、本当だと思います。

『****お』様というのがどのような人物かは分かりませんが、きっとその人がAに呪いをかける力を授けたのでしょう。

どうして私がAの言葉を信じたのか…、それは、Aが柄の悪い乗客の耳元で何かを呟いた時、Aの後ろにおどろおどろしい死神のようなものが視えたからです。
その死神は黒いローブを頭まですっぽりかぶり大きな鎌を持っていて、柄の悪い乗客が逃げて行くと、その後をふわふわと浮きながらついていったのです。

Aとの出張はつつがなく終わりました。
その後、Aと私は何もトラブルがなく、今まで通り普通に同僚として接しました。
Aも自分に攻撃してくる人がいない限りは大人しいので、Aが自主退職するまで、職場でトラブルが起こることもなかったです。

あれ以来、Aとは一度も再会することがありませんが、恐らく今でもあの死神は、Aに憑いているのだと思います。
ただの幽霊よりも恐ろしいものを見てしまいました。

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コメント(1)
  • 欧米か

    2022/03/16/20:21

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