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ターャジスさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

ガス臭い
短編 2022/03/13 01:49 781view

学生の頃一時的に県営住宅に住んでいたのですがそこでの話でも…

学生の頃住んでいた県営住宅はいかにも!といった感じはなく割と新しいつくりでした。
同じ階は入居者募集中なためかまだ空き部屋もいくつかありましたが私の家以外に年配のご夫婦、定年近い男性、私と同じぐらいの子供がいる世帯、小さい子供さんのいる世帯が住んでいました。

しばらくすると満室になり新しい生活にも慣れてきたある日、学校へ行く前にゴミを捨てに行くと世間話をしているおばさま方がいました。
軽く挨拶をして通りすぎましたがその日はおばさま方は話に夢中。
「なんか最近ガス臭くない?」
「風向きによってすごくガス臭いことがあるのよねぇ」
「あんまり続くようなら管理人さんに相談したほうがよくないかしら」
都市ガスが引いてある地区で給湯器は共用の廊下に面しているつくりだったので給湯器が動いているお宅の前を通るとほんのりガス臭いことはありましたがそこまでかなぁとその時は思ってました。

おばさま方がそんな話をしていた次の日ぐらいだったと思いますが共用の廊下を出るとものすごくガス臭くて他の部屋の人もまだ新しい建物なのにガス漏れ?と話していたところ定年近い男性が「ちょっと気になることがあるから管理人さんのところに行ってくるわ…」とものすごい勢いで階段を降りて行きました。

学校から帰ると裏口にガス会社の車とパトカーがあり内心うわーまじかーと思いながら管理人室の前を通ると(管理人室の前を通らないと階段に行けないつくりでした)管理人さんと定年近い男性と警察の人が話をしていました。
同じ階だということを管理人さんが警察の人に話すと「びっくりさせてしまうかもしれないけど」と前置きをして警察の人が話してくれました。

定年近い男性の隣に住んでいた小さい子供さんのいる世帯のご主人がガス自殺をしていたと…
奥さんと子供さんはその何日か前に部屋を出ていて奥さんから離婚届が役所に出されていたことや携帯の通話履歴などからおそらくそれが引き金になってしまったのではないかとのことでした。
ガス臭かったのは都市ガスなので出しっぱなしにしていも安全装置が働いて止まるけどいくら目張りをしていても小さな隙間から少しずつガスが漏れていたのではないかということでした。

部屋自体は専門の業者さんに片付けてもらいお清めをしてその棟もお祓いをしてくださったとのことですが階段に向かうにはその部屋の前を通らねばならず時々人の気配や視線を感じることがありました。
今はそこから離れた地域に住んでいるのであれからそこの県営住宅がどうなったかは分かりませんが…

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