青いジャンバーの男性

15年ほど前に父の会社で体験した話です。

当時父が勤めていた会社は土地柄があまり良くない場所で、夜一人で会社に残っていると足音が聞こえる、数人の気配を感じる、目の端に人影がよぎる等色々体験していたそうです。

その日父は短時間ですが休日出勤をしなければなりませんでした。

一人で会社に行くのが嫌だったのか、雑務をさせるとの名目で父は暇だった私を同行させました。

何度か訪れたことはありますが空気が澱んでいる、嫌な感じがするのです。

製造の会社ですが父は事務方でパソコンで操作を始めました。

私はゴミまとめなどの雑務をしていました。

1時間ほどするとトイレに行きたくなりました。トイレは薄暗いし、父から色々な心霊体験を聞いていたので怖かったです。

手を洗う際には洗面所の鏡を見ないようにしました、何か映っていると嫌だったからです。

不安でいっぱいでしたが何事もなくトイレを出ました。

するとトイレを出てすぐ左にあるつき当たりの部屋に気配を感じました。

父がいるのかと思いそちらを向くと、ドアの窓(透明)の前を青いジャンバーを着た男性が通り過ぎていきました。

誰か他の従業員が来たのかと思いました。挨拶しないとかな…そう思っていると反対側から父が、「お〜い、そっちは会議室だぞ事務所はこっちだこの方向音痴！」と私を呼びました。

父の元に戻り、誰か来たのかと尋ねると誰も来ていないとのこと。

私は見てしまったようです。

しかし不思議と嫌な感じはしませんでした。聞けば見回りをしている男性の霊がいるとのこと、その人かなと思いました。

私は霊感はないですがはっきりとその存在を感じました。

私の妹は私より霊感があり、やはり父の会社で青いジャンバーの男性を見たそうです。

父の会社はその後倒産し、建物は別の会社のものになりました。

今でもあのジャンバーの男性は見回りを続けているのでしょうか…。