薄気味悪いトイレにいた人

ポケットから生理用品を取り出し下着に付けようと思いましたが、ゴミ箱がありません。

モタモタしているうちに、扉が「ギギっ」と鳴りました。

私は「Aさん？」と聞くと「うん」と聞こえたので、Aさんもトイレに来たんだなと思い用を足しました。

そして、扉を開け手を洗っていると私の入ったトイレの反対側のトイレが閉まっていたので、Aさんはそこにいるんだと思い、「Aさん先に行ってるからね！」と声をかけるとまた「うん」と聞こえたので、素早く手を洗い荷物を取りに研修室に向かいました。

この日は2人で初めて食事に行くので楽しみだったので、小走りで向かい研修室の扉を開けると、そこに居たのはAさんでした。

Aさんは「おかえりー！大丈夫だった？」と私に聞きますが、私も「え？さっき同じトイレに行ってなかった？」と聞いても「行ってないよ！」と言います。

でも、こちらも確かにAさん？と聞いたら、うんと答えてくれたし、先に行くからねって聞いても答えてくれてたよ！と言っても「待って！本当に私あのあと会議室に片付けに行ったら真っ直ぐ研修室に戻ったんだよ」と言われ、怖くなりました。

あの時、絶対誰かが「うん！」と答えてくれてます。

扉も閉まっていたのも確かに見てます。

ただ、今思えばトイレのスリッパに履き替える時に誰の靴もなかったのを思い出しました。

私は怖くなり、それ以後あのトイレに近づく事はなくなりました。

結局誰が返事してくれたのかは分かりませんが、あれから何十年たった今、私が新卒で入った会社はさらに大きくなり駅の近くにビルを建て移転しました。

昔の建物や小学校の一部だった建物は綺麗さっぱりなくなり、今は更地となっています。

あの時、返事してくれたのは一体誰だったんだろう