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心霊

足が太いさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

心霊スポットでのリアル神隠し
長編 2022/01/22 23:50 3,742view
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「でも、○○が呼んでくれて戻って来れて、本当に良かった」と、B子は喜んでいますが、私はあまり喜べませんでした。
だって、さっきから遠くで「おーい、おーい」という声が聞こえるからです。
それに相変わらず人気がなくて、嫌な予感ばかりしていました。

「B子、さっきから変な声聞こえない?」
「え?やめてよ、聞こえないよ?」
「おーい、おーいって声がしない?ほら」

B子に耳を澄ますように言うと、少し黙った後にB子が「…聞こえる」と言いました。
「あの声もだし、いつもだったらこの辺りってちらほら人がいるのに、今日に限って誰も居ないんだよね。何か変じゃない?」
「うん…、確かに変だね…」
「あの声に掴まったら良くない気がする。見つからないようにそーっと逃げよう」

そう言ってB子の腕を取り、私は来た道を戻ろうとしました。
しかし、B子がピタッと止まったまま動かないのです。

「どうしたの、B子?早く逃げないと」
そう言いながら振り返ったのですが、B子の顔を見て驚きました。
右半分はB子の顔なのに、左半分は知らない老婆の顔をしているのです。
震えていると、左半分の老婆の顔が舌打ちをして、「せっかく~~~だったのに邪魔をして…。お前も一緒に~~~に連れて行こうか」と、言いました。
~~~の部分は何故か日本語に聞こえず、金属音のような音がして上手く聞き取れません。

そうこうしているうちに、「おーい、おーい」という声もどんどん近づいてきます。
嫌な予感がますます高まり、私は老婆の顔の方に、ポケットに入れていた塩を投げつけました。
心霊スポットということから、念の為持ってきていた清めの塩です。

すると老婆の顔が消え、B子の顔が元通りになったので、再度B子の腕を引っ張って走ったのです。

「おーい、おーい」という声に追いかけられながら、何とか来た道を戻り、その場所を抜けたあたりで、私達以外の人を見かけるようになりました。
「B子…、多分もう大丈夫だと思う。すぐB子のお父さんとお母さんに連絡するから、迎えに来てもらおう」
「うん、さっきとは全然雰囲気が違うね。ありがとう」

近くにある駅まで移動して、そこでB子親に連絡を入れ、B子はご両親とともに家に帰りました。
私も彼氏に連絡して迎えに来てもらい、その日は1人で家に居るのが何だか怖かったので、彼氏宅に泊めてもらうことにしました。
B子は警察でも私にしたのと同じ話をしたようですが、あまり信じてもらえなかったそうです。

その後は私もB子もとくに何も起きていません。
あの「おーい」と呼ぶ声も、B子の左半分に現れた老婆の顔も謎のままですが、調べると良くないことが起こりそうで、何も調べないままにしています。
B子はきっと、「おーい」と呼ぶ声や老婆によって、あの場所で神隠しに遭ったのでしょう。
あの日私があの場所に行かなければ、B子は今も白い空間を彷徨っていたかもしれません。

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コメント(1)
  • 広告しかない三ページ目って何のために有るんだろ?
    不忍池かな?

    2022/01/23/04:22

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