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心霊

山椒魚さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

新聞配達できないアパート
短編 2022/01/03 10:33 1,083view
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私は学生時代に新聞配達をしていました。
4年間新聞配達をしていたのですが、その中で、どうしても一か所だけ配達ができないところがありました。

私は新聞の販売店の準社員として働いていたので、配達する区域は特に決まっておらず、
バイトの人が休んだときだけ、ピンチヒッターとして配達していました。

配達は準備も含めて、朝の3時頃から始まります。
当然周りは真っ暗です。

私は、配達業務には慣れており、周りと比べても配達の速度は速い方でした。

朝の3時には起きていたので、いつも早々に配達を片付けて、人に見つからないところで寝ていました。

そんな私が、ある区域のあるアパートだけは暗い時間にはどうしても配達できないということがありました。
そのアパートは真っ暗だったのです。

先に述べたとおり、3時の配達は暗くて当然です、それには慣れています。
しかし、そのアパートだけは異様で、暗いという表現よりも、「漆黒」といった方が正しいという感じです。
空間に墨汁をこぼしたような感じです。

それに、中に入ろうとすると、防衛本能が働いているのでしょうか、鳥肌が立って、汗がでて、とにかく怖いのです。

なので、そこを配達するときには、周りが明るくなってから配達するようにしていました。

墓場ですら眠れる私なのに、何かがおかしいと思い、ある時、その区域を担当する社員のTさんに聞いてみました。

「○〇区の△△アパートってなんか異様に暗いというか真っ黒じゃないですか?なんか知ってます?」

すると、Tさんが
「ああ、あそこな!昔、□□号室で自殺者がでてたもんな!」
私は、内心「そんなんあるんやったら先に言っとけやあああああ!!!」と叫びました。

やはり、あそこに入ろうとしたときに何か異様な恐怖を感じたのは間違いではなかったと確信しました。

自殺者が出たから怖いのか、そういったあまり良くない気が集まるような場所だったから自殺者がでたのかは
分かりませんが、それ以後、そのアパートの周りを配達するときは必ず一番最後の朝日が昇ってからするようにしました。

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コメント(2)
  • 勤労学生さんだったのですね。お疲れさまでした。

    2022/08/28/21:37
  • 情景が浮かびました。

    2023/05/16/06:36

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