猫の話
投稿者:ももね (3)
短編
2023/01/27
01:39
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まだ実家にいた時のこと。
実家では猫を飼っている。もと野良で臆病な三毛猫だが、私にはなついていて、私が寝転がっているとよく足元までやってきて丸くなって寝ていた。
ある夜のことだ。
私以外の家族は出かけていて、気楽な一人の時間を楽しんでいる時だった。
ベッドの上でケータイをいじりながら横になっていると、いつものように猫がやってきた。ポスポスポスと軽い足音。ベッドの上を歩く感触がする。いつものことなので私はケータイから目を放すこともなく、ただ猫がそばまでやってきた気配だけを感じていた。猫は私の足元でうずくまったようだった。
少しだけそうしていると、「ニャー」という声がした。
私の足元からではなかった。猫がいつも生活している一階の方からだった。
驚いて飛び起きたが、足元に猫の姿はなく、階段を降りて声のした方を確認すると、空になったエサ皿の前で猫がチョコんとすわっていた。
我が家の猫は若干太り気味で、階段を上り下りすると小さな子供くらいの足音がする。気が付かない間に私の足元を離れ、一階まで降りて行ったとは考えられない。
あの時、ベッドの上にやってきて、私の足元でうずくまったアレは、いったいなんだったのだろう。
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