子供には見えた幽霊屋敷の幽霊

詳しい地名は伏せておきます。

私がまだ若く子供が二人おり、それぞれ三才と五才の時の事。

わりと市街地に住む私たち家族は、車で３０分くらいの少し市街地から外れた田舎にある実家向かっていました。

午後７時ころだったと思います。

地元では私が子供のころから幽霊屋敷と噂される古い空き家があり、未だにその噂を聞くことがあります。

ちょうどその家の前を通り過ぎようとした瞬間、息子二人そろって「わぁぁぁ」を叫んだのです。

幽霊屋敷の事なんて普段なんとも気にしておりませんが、息子たちの大きな声に驚きました。

車を走らせながら、どうしたのか聞いてみると道路に女の人が立っていて私の車で轢いてしまったの言うのです。

そんなことは全くありません。

でもその時解かったのです。

例の空き家の前だと。

私たち夫婦は冷や汗を感じながら息子たちに詳しく話を聞きました。

轢いた後どうなったか？

轢いた後車の後ろをすぐに見たようですがもちろんそんな女の人はいなかったそうです。

この古い空き家の幽霊屋敷の噂は二人の息子たちが知るはずがありません。

私たち夫婦には何も見えませんでしたが、子供たちがそんな嘘を言うはずもありませんし。

実家についても忘れる事ができず、また事の次第を話す気にもなれず心が重たく感じていました。

午後１０時ころ実家を出て帰る際、とても来た道をもどる気はしませんでした。

少し遠回りをして私たち家族の家へと向かいました。

この事は家族の間でも暗黙の了解というか、あまり話さないようにしています。