中古のカーナビ

俺がスマホを買う前だから、もう10年以上前の話だ。

その時乗っていた車で自損事故を起こして廃車にしてしまったので、とりあえず中古の安い軽自動車を買った。

車自体は全く問題なく動いていたが、カーナビが付いてなかった。

カーナビが付いて無いのは分かっていたが、しばらくはこれで十分だと思っていた。

しかし前の車には付いていたから、無いとなると意外に不便だった。

そこで、この車にすぐに取り付けられるようなポータブルタイプのカーナビを探しにリサイクルショップへと向かった。

店に入って物色していると、ちょうど良さそうなものがあった。

3年くらいの前の型で、最低限の付属品はあったものの、説明書が無く、データの初期化もされてない格安の物だった。

3年前の物なら地図データも問題ないだろうし、説明書は家のPCでダウンロードすればいい。

俺は早速それを買って、店の駐車場で動作チェックをすることにした。

電源アダプターをシガーソケットに差し込むと、問題なく動作した。

店の説明では前の人のデータが残っているという事だったので、確認してみると目的地が2か所登録されていた。

目的地の一つ目は、俺が働いている会社だった。

会社はこの辺りではかなり大きいから、客や取引先の担当者とかが使っていたとしたら、目的地として設定していても何もおかしくはなかった。

しかし、目的地の二つ目は全く理解できなかった。

そこは俺の自宅だったからだ。