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心霊

ぴさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

本能的にヤバいと思う部屋
短編 2021/09/08 19:49 998view

私は地元から出て、一度一人暮らしをしたことがあります。
ちょっと県外に出ることに憧れがあったのと、行きたい専門学校がそこにあったという理由で、専門学生の2年間に一人暮らしをしました。しかし、そのときに初めて暮らした部屋で奇妙な体験をしたのです。

最初はちょっと音が鳴る程度でした。家が古くなってくるとキシキシ変な音がすることってありますよね。
しかし、私が住んでいたのは割と新しいアパートです。新築にして2~3年程度というような新しい部屋なのに、家鳴りがすごいのは最初から奇妙な気がしていました。

そして天井から音が聞こえてくるのもまた奇妙です。上の階に人が住んでいるのなら分かりますが、私が住んでいたのは2階で、そして上の階には誰も住んでいません。それなのに天井からどたどたと人が走り回るような音がすることが時折あるんです。それを何度も大家さんに話してみたのですが、他の部屋でそんな苦情は入ってないとぴしゃりと言われて、何も対応してもらえませんでした。

そこまででも既になかなか怖いのに、それで終わりませんでした。
ある日、寝ようとしたら急に耳元で「遊ぼ」と囁かれました。ゾッとしてしばらく固まっていた私ですが、しばらく何もないので気のせいと思って寝ようとしたら、今度は私の周りに走り回るような音が聞こえてびくっとしました。子供でしょうか?キャッキャ騒ぐような声が聞こえます。それが夜通し続くので、その日は一睡もえできずに徹夜する羽目になりました。

その日をきっかけに私は友達の家に宿泊し、部屋に帰らなくなりました。このままあの部屋に居続けたら絶対にヤバイと本能的に思ったからです。新しい家を自力で見つけて、そして引越しをすることに。

私は泊まらせてもらった友人の一人にお願いして、一緒に引っ越しの手伝いをしてもらうために、あの家に一泊しました。その日は本当に嘘のように何事もなく、ぐっすり眠れて一安心したのですが、朝起きたら泊まったはずの友達がいなくなっていることに気づいて心臓が爆発しそうになりました。

慌ててその友達に連絡をすると、けろっとした声で電話に出る友達。その友達は私が「一人になりたい」と言ったから自分の家に帰ったというのです。
安心したのも束の間で、今自分が一人あの部屋にいることに気づいた私は急に怖くなってきました。電話を離さず友達と話しながら私は急いで部屋を出ました。出る瞬間聞こえたのは、「お母さん!」という高い子供の声。まるで、行かないでというような縋るようなその声にぞくっと震えながら、私は急いでその部屋を逃げ出しました。

あれから引っ越し業者に頼んで、すべて引っ越し業者に荷物の運びだし作業をやってもらいました。だから一度も部屋に戻っていません。
一刻も早く部屋を出たかった私は、大家さんに何も問い詰めずに転居しました。

その後はあの出来事が夢だったかのように、安心して一人暮らしを堪能できました。あの部屋の奇妙な体験は今も忘れられず、しかしたまに思い出して切なくなります。
お母さんを呼ぶ悲しそうな子供の声。あの部屋には一体誰が住んでいたのか、そして何があったのか怖くて聞けませんでしたが、今も少しだけ気にかかります。

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